銀ちゃん
銀ちゃんの部屋を出るときは要注意なのだ。 銀ちゃんは必死で引き止めて、引き止めるあまりしがみついたり噛み付いたりする。 急に立ち上がって部屋を出ようとするなんてもってのほかで、慌てた銀ちゃんが爪を立て足首に食らいついてケガをする。 銀ちゃんは、私が部屋にいると それだけで幸せそうな顔をする。撫でてもらうと それはもう至福の時間だという顔をする。 私がいない間は いつも部屋にひとりぼっちだけどそれでも 彼が外の世界で白いカラダが汚れて、鼻水をたらして、お腹を空かせて、ヒトに「しっしっ」とされながら生きるよりはよっぽど、威厳を保てて、命の尊厳に値する生き方ができるんじゃないかと思う。 うちの子になってくれて 銀ちゃんありがとう。なのだ。