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カテゴリ:コンサート
クリスチャン・ツィメルマン
ピアノ・リサイタル


クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル

200959日[土]開演14:30



サラマンカホール岐阜県県民ふれあい会館



*** PROGRAM ***


J.S.バッハ:「6つのパルティータ」より 第2番 ハ短調 BWV826

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111

~休 憩~

ブラームス:4つの小品 作品119

シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10



座席:A席BC列23番(バルコニー)




 クリスチャン・ツィメルマンのピアノ・リサイタルに行って来ました。会場は岐阜県にあるサラマンカホール。2009日本ツアー全17公演の初陣を切る演奏会です。彼の生のピアノを聴くのは約1年半ぶりですが、リサイタルは3年ぶりです。

 私が聴いたのはプログラムAと呼ばれるもので、5月の公演はすべてこれ。6月は、横浜・埼玉公演を除いてはプログラムBが演奏されます。これは、ベートーヴェンとシマノフスキがAと同じですが、バッハとブラームスに関しては曲目が未定で当日発表になるようです。

 会場のサラマンカホールは開館してから今年で15年を迎えたそうです。とても綺麗なホールで、オーケストラの演奏も可能です。残響が少し強めで、3階並みの高さで最後方だった私の座席からでも叩いた鍵盤の音が聴こえてきます。

 チケットは完売。よって会場は満席でした。人気ピアニストである上に、S席でも5000円という破格が不景気の中にあっても売り上げが好調だった要因でしょう。

 白髪でダンディなイメージのツィメルマン(敬称略)。彼が登場すると、いずれもピアノに着いてすぐに演奏が始まりました。


J.S.バッハ:「6つのパルティータ」より 第2番

 バッハの作品を聴くと、どの曲もなぜか懐かしい気持ちになります。今日のツィメルマンのピアノもそうでした。滑らかで心地よい音階の連続。バッハの世界に誘われてゆきます。

 彼の粒立ちの良いピアノの響きと豊かな表現力は、バッハの作品にピッタリ。曲自体も気に入ったので、後ほどCDを調達し自宅で復習してみたいと思います。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番

 ああ、ツィメルマンが奏でるベートーヴェンはなんて素晴しいんだろう。いきなり強奏から始まるこの作品。鍵盤を強打しても決して品性が落ちない、完璧に整えられたピアノタッチ。気性の激しさではなく、優しい一面を見せたベートーヴェンの性格をそのまま映し出したかのような音色です。

 ツィメルマンの演奏を聴いていると、ふと、ベートーヴェンは自身最後のピアノ・ソナタをどんな思いで書いたのだろうか。なぜかそうした考えが頭をよぎりました。本人はラストだと意識して作曲したわけではないのでしょうけど。

 特に第2楽章の中ほどで、スィング・ジャズ風の楽しげなフレーズが出てくるところでは、ベートーヴェンの心情のほどを知りたくなります。それと同時に、ツィメルマンが今年の秋に演奏する予定のガーシュウィンの作品とも重なる思いで非常に興味深かったです。

 そして、ラスト数小節の穏やかなメロディ。静かに優しく曲は閉じられます。その高揚感といったら言葉にできないくらい。心が洗われるような時間でした。


ブラームス:4つの小品

 休憩を挟んでブラームスの作品。ここでもツィメルマンの緻密なピアニズムが展開。でも、強奏のところでなぜかピアノが濁って不透明な音に。う~ん、彼らしくないなぁ。というか、これがツィメルマンの解釈なのか。しかし、予習で聴いたヴィルヘルム・ケンプの演奏はそうではなかったのです。

 せっかく予習してきたのに残念?というより、ケンプの演奏の優れた面が発見できたということなのかもしれません。ベートーヴェンの演奏をブラームスでしてもダメで、ブラームスにはブラームスの演奏があるのでしょう。あと、自分とのフィーリングも。

 これは気になる点(このために演奏があっさり終わってしまった感があります)ですから、ツィメルマンが演奏するブラームス(手元にあるのは協奏曲の第2番)を聴き直してみます。


シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲

 近代ポーランドを代表する作曲家シマノフスキの作品。曲は短い序奏と主題および10の変奏からなりますが、各変奏には入念な変奏技法が凝らされ、堂々たる規模の変奏曲です。

 こんな凄い演奏を見たことも聴いたこともない。これは私のピアノ・リサイタル経験史上、最高の演奏といっても過言ではありません。とにかく、演奏するのが非常に難しい作品であることは、ピアノを弾かない人でもすぐに理解できるはず。それを、見事に弾ききってしまったツィメルマンっていったい……。

 「燃え上がる情熱を感じる入魂のピアノ」「故国の威信と誇りをかけた演奏」「超絶技巧のオンパレード」 ああ、どう表現したらふさわしいのか言葉が見つからない。私って、本当に感動すると涙なんて出てこないんだということを初めて経験しました。なんと、笑顔になってしまうのです。歓喜です、歓喜!


演奏会のまとめ

 この充実感はなんでしょう。期待していたベートーヴェンはもちろん素晴しかったですが、初めて聴いた曲であったにもかかわらず、シマノフスキがとび抜けて凄かった!聴こえてくるピアノの鮮烈なる響きも、そして体いっぱいで表現し演奏する白熱のツィメルマンも。

 演奏後、拍手は鳴り止みませんでした。アンコールはなかったのですが、あの凄い演奏の後ではなくても十分。いいえ、アンコールであれ以上の演奏なんてあり得ません。

 このリサイタルはぜひ、ピアノを愛する人すべてに聴いてもらいたいです。





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Last updated  2009年05月09日 23時50分00秒
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