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カテゴリ:コンサート
世界が認めるピアニスト 上原彩子
待望のリサイタル!


上原彩子 ピアノリサイタル


2009年 9月19日(土) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール


*** プログラム ***


J.S. バッハ:平均律クラヴィア曲集 第1部より
第1番/第8番/第7番

タネーエフ:前奏曲とフーガ 嬰ト短調 op.29

ベートーヴェン:ソナタ 第30番 ホ長調

~休憩~

リスト:J.S.バッハのカンタータ
「泣き、悲しみ、悩み、おののき」の通奏低音と
ロ短調ミサの「クルチフィクス」による変奏曲

西村 朗:神秘の鐘より 1.薄明光

リスト:パガニーニによる超絶技巧練習曲集より
第3番「ラ・カンパネラ」

リスト:巡礼の年報 第2年 イタリア より
第4番 ペトラルカのソネット 第47番
第5番 ペトラルカのソネット 第104番

リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調


** アンコール **

リスト:愛の夢 第3番


座席:A席2F列44番




 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・大ホールで行なわれた、上原彩子さんのピアノリサイタルに行ってきました。彼女は2002年6月、第12回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門において、女性としては史上初めての第1位を獲得。日本人としてもピアノ部門での第1位は初めてとなりました。

 そうした世界が認めるピアニストである上原さんの演奏をぜひとも聴きたくて、ホールに足を運んだのでした。ステージには、青いシルクのドレスで登場しました。彼女は、弾き始める前に、たいていの演奏で、首が右側に傾き右肩が下がるのが特徴です。

*** *** ***

 まずはバッハの作品で、いきなりウトウトしてしまいました。でも、眠気を催すのは演奏が優れている証拠……というのは冗談ですが、気持ちよく夢の……いいえ、バッハの世界に引き込まれてゆきました。心地よいピアノの響きが印象に残っています。

 タネーエフは会場で初めて聴いた曲。それなのに、最初から最後まで技巧の織り交ぜられた演奏に、バッハでの眠気はすっかり吹っ飛んでしまい、ずっと引き付けられていました。

 そして、前半のシメの曲はベートーヴェン。決して派手ではないけど、かといって地味でもない。確実に、音符をピアノの響きに変えてゆきます。ベートーヴェンの手によって精神性が付与されたこのピアノ・ソナタ。上原さんの演奏にも魂の込められた様子がうかがえました。

*** *** ***

 後半は、リストの作品から。バッハのカンタータとミサの変奏曲。ピアノの低音が人の慟哭のように聴こえるから不思議。リストが、バッハの楽曲を敬意を込めて研究して生み出された傑作。きっと、今日この日のために上原さん自身、この曲を深く勉強して演奏に臨まれたことと思います。

 次は、西村朗氏の「鐘」をテーマにした作品。恐らく、高音のトリルが神秘的な「鐘」の音を表わしているのでしょう。上原さんの指先は、光を放つかのように鍵盤上で躍動しました。この曲の演奏のみ、譜面が立てられます。拍子や休止が複雑な作品のため、きっと正確な演奏を心がけてのことでしょう。

 残りの3曲はすべてリストの作品。その1曲目は、有名な「ラ・カンパネラ」。上原さんのアプローチは、最初は控えめ。それでも繊細さと正確さを失なわい演奏。クライマックスは、それまで潜めていたエネルギーが一気に放たれて、非常な力強さが伝わってきました。

 2曲目は「巡礼の年報」という作品。第4番は、恋い焦がれる心を甘美なメロディにのせて歌う。第5番は、「祝福あれ」と叫ぶ恋心を華麗な技巧も交えながら感動的に歌い上げる、とそれぞれプログラムノートには書いてありました。この点を十分に意識して聴かなかったために、残念ながらどんな曲だったのかあまり覚えていません。

 最後はハンガリー狂詩曲で、その中でも有名な第2番。上原さんは強弱とテンポを微妙に、また巧みに変化させて、豊かな表現力を駆使しました。もともとは舞曲なので、聴いていると踊り出しそう。上原さんも、椅子から腰を浮かせての大熱演。曲は華やかに閉じられました。

 (アンコールもリストの曲で、有名な「愛の夢 第3番」。穏やかな気持ちでリサイタルを終えて、家路に向かうことができました。)

*** *** ***

 上原さんのピアノを聴いての印象を一言で表わすと、「沈着冷静」です。どの曲の演奏も、一つ上の「大人のピアノ」を感じさせる落ち着いたものでした。たぶん、子供には彼女の演奏は理解できないと思います。

 (事実、私の座席の近くにいた2組の親子。いずれの子供も退屈そうにしていました。それだけならまだしも、気が散るような物音をたてたりして、腹立たしく感じました)。

 そうした上原さんの「冷静沈着」なピアノは、演奏の正確さに反映されていたと思います。実にスマートな演奏です。しかし、これは言い換えれば、感情が表に出てこない演奏、ということもできるかもしれません。この点で、彼女の演奏に対して好みが分かれそうです。

 でも時折、天井を見上げてピアノを弾く上原さんの姿は、あたかも感極まって流れ落ちそうになった涙を必死になってこぼさないようにしている、そのような様子に見えました。もしかしたら、これが彼女の感情表現の一つだったのかもしれませんね。





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Last updated  2009年09月20日 01時40分00秒
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