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fishmael








深い緑と明るい茶色。

二つの色が入り混じっている。

マーブルガラス。


入り組んでいても、決して混ざりきる事は無い二色。
その二色は自らをハッキリと主張している。

その中で。


単色しか持ちえない私は、其れが何時混ざり合うのか気になってずっと眺めていた。


「何でそんなに見ているの?」

彼が言う。

「・・・・。」
私は無言のまま。
ただ眺めていた。

「そんなに見てないで。」
そう言われて、私は笑顔で答えた。
マーブルガラスを眺めたまま。

そのガラスの中には、愛情が詰まってた。
二色であっても一点の曇も無く。

「「無償」とはこういうものなのかもしれない。」

私は眺めながらそんな事を考えていた。

私は、その感情がどういうものか知りたくてガラスに触れようと手を伸ばした。
ガラスは、それに答えるかの様に私にその意味を教えてくれる。
ガラスは円体であって円体ではない。それは、私の方を向いているかの様に
全てを傾けてくる。

私はこんなにも枯渇していたの。
愛情の意味を取り違えていたのだろうか。
全身に心地好いものが染込んでくる。
まるで、朝一番に清流の上流で顔を洗った時みたいに。

こんなにも心地よく思ったことは無かった。
愛情を受けることに。
愛情を知ることに。

嫌悪しかなかったのに…。

言葉に出来ない。
私は、ほんの子供の様に愛情を受けることに戸惑った。
今まで、知った事が無かったように。
まるで、赤ん坊のように。

単色のガラスは、潤っている。
いや、まるで水分で出来ているかのように瞬いている。

人は愛情を知る事でこんなにも世界が変るのか…。
私は、ガラスの行方を見守っていた。
自分のガラスがどう変るのかを、少し離れた所から頬杖を付きながら。

窓際にマーブルガラスと単色ガラスを並べてみる。

二つのガラスは、共鳴するかのように交信している。
それらはお互いに瞬きを止めない。


今はもうまるで昔の事みたい。

私のガラスはまだ潤ってるの?

マーブルガラスはまだ瞬いているの?

くすんだりしてない?


ガラスの世界は変化した。
だけど、先に進まないまま。

このまま風化していくのだろうか。

忘れられない。










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