2007/04/18(水)18:34
83冊の家計簿
平山郁夫夫人の美知子さんは、昭和22年東京美術学校(現東京藝術大学)日本画科に入学、昭和28年の院展に「群像」という作品で初入選・初奨励賞受賞という快挙をなしとげたほどの才能の持ち主であったが、昭和30年平山郁夫氏と結婚する際「もし、何かを捨てるのなら、自分にとって、一番大切なもの価値あるものを捨てる。」と、思い定めて筆を折ったそうです。それゆえ、夫妻共通の師である前田青邨画伯に「もし絵描きなら、夫婦で競い合っていてはうまくいかないよ。どちらかが潰れるか共倒れしてしまう、どうするんだね」と問いかけられたとき、きっぱりと「わたしが、絵を捨てます」と即座にいいきったそうです。また、青邨画伯も、長い沈思の末、「それもよかろう。」と承認され結婚生活がはじまると同時に、美知子さんは筆を折り、夫の大成を目指して生活をスタートさせたということです。この生活を共に歩んだのが83冊の家計簿でした。この家計簿は、日々のこまかい会計のほか、夫妻の貧しかった無名時代昭和32年9月25日の郁夫画伯の白血病発症父母の死や子供の誕生画業大成のため幼い子供を両親の元に預け、精進する日々画伯の出世作「仏教伝来」の制作秘話シルクロードへの旅立ちなどの逸話にみちています。詳しくは、平山美知子著「道はあとからついてくる 家計簿に見る平山画伯家の足跡」に書かれています。残念ながらこの本は絶版となっていますが、amazon.co.jpのマーケットプレイスで入手可能のようですので、興味のある方はご覧になってみてください。