2009/09/01(火)15:18
メキシコ革命
ソヴィエト革命に先立つこと7年、メキシコ革命が起こります。メキシコはポルフィリオ・ディアスの独裁政権下にありました。ディアスはメキシコの近代化という命題に取り組みましたがそのために導入したのは外国資本でした。鉄道や工場などの社会資本は整備されましたがそこで働く労働者の賃金は18世紀の水準のまま、というひどいものでした。そして、農業はアシエンダと呼ばれる大地主が独占していました。一般大衆は、収奪され、その命以外何物も持たないという状態になっていました。そんな中、ディアスの再任を認めるという投票がなされたのですがこれは脅迫と賄賂がもたらした虚偽に満ちたものでした。ここにいたり、忍耐の極限まで追い詰められていた民衆は自由という言葉を知らずに自滅するより戦って死を選ぶことを選択し1910年11月20日、ディアスの対抗者フランシスコ・マデロが獄中より反ディアスの一斉蜂起を呼びかけたのに呼応し徐々に革命の波が全国に広がっていきます。このメキシコ革命は当初はディアスの独裁や外国資本への反発から始まったものでしたが次第に姿を変え、メキシコという国の社会構造を根底から変革する社会革命という性格を持ち1917年に制定された革命憲法に、その理念が結実します。この動きの中で模索されたのがメキシコの国としての姿でした。スペインの植民地時代、フランスの侵略、そしてそれに継ぐディアスの西欧至上政治国民の大半はメスティーソという混血となっていました。そして、またこのことが革命後の世界を形作ることとなりました。近代化を成し遂げたけれど、魂はあくまでもメキシコ独自の姿である墨(墨西哥:メキシコ)魂洋才とでも言うべきなのでしょうかメキシコ人としてのルーツを失わず、しかし西洋化の恩恵にも預かるそれがこの革命の目指したものでした。しかし、問題は山積です識字率10%にも満たない国民に、どうやってこの革命の理念を知らしめていくのかここに、藝術による革命理念の普及という手段が浮かび上がってきたのでした。☆ ☆ ☆参考図書:加藤 薫著「メキシコ壁画運動」及びWikipedia「メキシコ革命」