2010/06/23(水)16:10
天国の扉
2007年に訪れたフィレンツェほぼ半日のフリータイムだったが目くるめくイタリアルネッサンスの息吹に触れる貴重な時間だった。フィレンツェの象徴ドゥオーモ(花の聖母教会)その傍らに立つ美しいひとつの鐘楼がある 近代絵画の父と言われるジオットの設計になる鐘楼その扉はミケランジェロをして「天国の扉」と言わしめた旧約聖書の10の場面が描かれている美しいレリーフでルネッサンスの金細工家ギベッティの最高傑作であるこの扉が1990年にフィレンツェを襲った大洪水により傷ついたそれを修復しようと申し出たのがなんと日本人茂登山長市郎氏だった氏は、長年ブランドものの輸入を手がけエルメスやロエベ、セリーヌなどを日本に紹介しまた、これまで他国への出店を拒んできたブランドGucciをGucciの店舗に日参することでオーナー家の信頼をかちえ日本で始めてGucciの代理店となることとなったなど欧州のブランドのよさを日本に定着させた功労者である。その功労者が自分が今日あるのは、イタリアを始めとする欧州の文化のおかげその文化に恩返しをするため、と壊れた扉のレリーフのレプリカを作成し、寄贈したというこのエピソードは、幸田真音さんの「舶来屋」という小説に出てきた。 フィレンツェといえば、修学旅行中の日本の高校生がドゥオーモに落書きした事件があったこの茂登山さんの志に比べ、なんと情けないことであろうか。日本の教育もつまらない暗記中心の受験教育などやめこのような志のある日本人の事跡を紹介しわれわれは海外との貿易無しには国が成り立たないのであるから他国の文化を学び尊重することまた自国の文化を学び、自負をもって、外国とつきあっていくことそのための教育をしていかなければ将来国が滅びる瀬戸際までいまの日本は来てしまっているのではないだろうか。昨日の9党首討論で教育の問題が出ず消費税にかかる議論だけが先行したのは嘆かわしいことである。