仙一の叫び(1)
仙一語録 9月1日から9月15日優勝まで
9月15日
甲子園で優勝できて、本当に運のいい男だなと
◆試合前
-甲子園は午前8時頃に開門した
星野監督 大変やなあ。いったん座ったら動けないやろ。時間長いで。
-なかなか優勝が決まらなくてファンもヤキモキしている。
星野監督 焦らされて待つのも楽しいもんやろ。負けたら腹立つけどね。わざとやってたりして(笑い)。そんなことができれば大したもんだ!
-なかなかこれまでのプレーができない
星野監督 うん。普通の野球をしっかりやればそう負ける訳ないんだけどな。みんなが「今日、今日」って言うから意識し過ぎるんや。選手だってスッキリしたい…と思ってるけどね。
-15日胴上げと以前から話していたが?
星野監督 88番(田淵チーフ打撃コーチ)もそう言ってたんや。
-この試合で観客300万人を突破することは確実だ。
星野監督 そうなの。すごいね。ありがたいわな。今日なんて1人1万円ぐらい落とすやろ。朝、昼、晩なんだから(苦笑い)。勝利が最高のファンサービス? そうやね。でもしょっちゅう勝ってたらそうは入らないよ。たまにだから(笑い)。
-節目の試合で、親友の山本監督が指揮を執る広島が相手というのは?
星野監督 それは全然意識しないな。向こうはAクラスがかかってるから必死だし。でも試合前に話とかしてたら“出来レース”とか言われるかもな。そんなことできるわけないのにな。
◆試合後
-サヨナラの場面、殊勲の赤星を抱きしめていた
星野監督 小さいからな。ちょうど抱きやすい(笑い)。大きかったら背伸びせなアカンからな。
-久し振りに勝った
星野監督 そんなことはもうエエ。勝ったことだけ言え。
-打線は序盤、硬い感じがした
星野監督 でも河内はよかったよ。ゆったりしたフォームからピュッと来ていた。故障がなければあの子は十分、使えるよ。
-沖原がしぶとく打った
星野監督 そうやな。それまでスライダーを引っ張らされとったからな。低めを振らされていた。
-片岡の貴重な同点本塁打はしびれた
星野監督 あの速いボールをな。風に乗せてくれた。サヨナラもお膳立て? 最後に働いてくれたね。これまでチャンスでうつむいてたから。1本出ると選手は変わるもんや。
-投手陣も中継ぎがよく粘った
星野監督 伊良部は2アウトからフォアボールを出してホームランというのが欠点やな。イヤな感じやったね。でも1点入って何とかなると思ったけどね。しかしヒー(桧山)が(8回の好機で)ええ格好せなアカンわ。絵にならんわ、あれじゃ。ど真ん中のスライダーらしいで。逆にコースならさばけたのかな。でもあそこで打ったらもう1人、ピッチャーを投げさせなアカンからな。サヨナラでよかったわ。
-久々の逆転勝利だ
星野監督 逆転というほどのこともない。2点ぐらいじゃ。5、6点ならそう言えるけど。まあ打線はみんなが見た感じのままや。まあ今日は競り合いだったからね。
◆祝勝会での会見(大阪市内のホテル)
-優勝おめでとうございます
星野監督 どうも、ありがとうございます。
-甲子園の空に舞った気持ちは
星野監督 いやあ、もう最高だね。超満員の中で、このタテジマで。そのためにここに並んでいる選手たちが打たれたり、打てなかったりしながら、この日に合わせてくれたんだなと感謝しています(笑い)。
-選手たちの喜ぶ様子を見ての気持ちは
星野監督 ここに並んでいる選手が喜んでいる姿を見るだけで、自分が胴上げされているよりも、選手の喜びを見ているだけで、胸が熱くなりました。
-今年の戦いを振り返って
星野監督 3月の終わりから始まって、4、5月と戦いを掌握できていなかったというか、特にピッチャー陣のリリーフはつなげられなかった印象がある。6月ぐらいからキッチリつなげられるようになった。ただ、7月あたりから貯金が多すぎて(笑い)。今だから冗談で言いますけど。本当にこれでひっくり返されたら、どうしようかと。そればっかり考えた1年でした。9月になり、モタモタしても、いつかは成し遂げるだろうと。でも、負けると癪(しゃく)なもんですから、きついコメントも選手に出しましたけど。今日ですべてを忘れてまた明日からやりたいと思います。
-優勝の要因は
星野監督 やはり、あの集中力というか、選手が「勝つんだ」という思いがキャンプから伝わってきました。ケガ人さえ出さなければ、いいところにいける。外的要因を踏まえた上でゴールができるという確信を持っていました。
-胴上げの後は笑顔でした
星野監督 グラウンドであんな笑顔を見せることはあんまり、というかほとんどないんですけどね。今日は腹の底から、1年間頑張った選手たちをねぎらっての、腹の底からの笑顔じゃなかったかなと。選手に感謝しています。
-ポイントの場面は
星野監督 ポイントは数多くあるんですが、語り尽くせない。あの1球、あの1打、あの1打というのはね。いろいろあって頭が混乱しています。あのゲームというのはいくつもあるんですが、特に今年は私が「あかんな、やられたな」と思った時に、同点にしたりひっくり返したりした試合が多かった。しいて挙げれば、今年のジャイアンツとの初戦(4月11日)ですね。私のミステークで、ああいう結果(6点差を追いつかれ引き分け)になってしまった。それでも負けなかった、その後2試合を連勝した。あの連勝で、今年はやってくれるとある程度確信しました。しかも東京ドームでですからね。
-ファンへ
星野監督 本当はヤクルトに勝って欲しかったんです。明日でも良かったかなと。でも早いに越したことはないし、多少選手に早く決めたいという気持ちが強すぎて。まあ、どこでも、いつでもとは思っていたんですが、甲子園でできて、本当に運のいい男だなと。
-日本シリーズに向けて
星野監督 今はもう何も考えてません。その時になればその時で、みんなでじっくり考えて、対処していきたいと思います。
9月14日
明日のことを考える余裕はボクにはありません
<試合前>
―監督の予言通り甲子園胴上げが近づいてきた
星野監督 (苦笑しながら)言うた通りやろ。しかし内容があかんわ。
―日本シリーズに向けては今苦しんだ方がと
星野監督 そういいふうにとらえればいいけどね。まあ18年も待ったんや。もう少し待ってもええやろ、18日ぐらい。フーッ、ジョークでも言わんとやっとれんわ。
―きのうマウンドに行ったときは何を
星野監督 1人相撲をとるな。みんな打ってくれるんやからと。おまえらもしっかり守れと言うた。でも(藪が)あんな顔してたらあかんわ。思った通り打たれよった。
―プレッシャーがあるのか
星野監督 こんなもん、プレッシャーとは言わんやろ。マジック2で10何ゲーム開いてるんやで。99年は8月にあの巨人と0・5ゲーム差までいったんやぞ。逆にゲーム差があるからこうなるんかもしれんな。
<試合後>
―日を追うごとに内容が悪くなっている
星野監督 最後までそうかなあ…。それじゃ困るな…。雰囲気? 重いわな…。
―自分たちの野球ができていない
星野監督 ピッチャーが抑えて、我慢せんと野球はできないわな。点を取ってもすぐ追い越されるしな。
―挙げ句に矢野の捕逸、8回の沖原などミスも目立った。
星野監督 ミスじゃない。ボーンヘッドや。攻めて失敗するプレーはミスだけど受けに回ったプレーとか勘違いとかはボーンヘッドやで。
―Vロードのはずが1週間で1勝もできなかった
星野監督 そうやけど、それでどうなったんや? 中日が3連勝してウチと何ゲーム差になったって言うんや? ここまで選手が頑張ってきてくれたからこういう状況があるんや。そりゃあ腹立つで。負けるごとに。神宮もナゴヤもこんなにたくさんお客さんが入ってくれてるのに…。そういう雰囲気の中で自分たちの野球ができないのは何か。それを考えないとな。
―明日から甲子園に戻るが
星野監督 明日のことを考える余裕はボクにはありません(苦笑い)。
―監督が言っていた通り甲子園で優勝が決まる?
星野監督 だから予想通りと言うとるやろ…。内容は悪いけどな。
9月13日
四球を12個も出したら勝てんわ
◆試合後
―投手陣が総崩れの試合だった
星野監督 ああいうのを崩れたというのか。自滅? う~ん、四球を12個も出したらな。勝とうと思っても勝てんわな。2人(ムーア、藪)は(2軍で)しっかり調整してきとるんちゃうんか……?
―打線は頑張った?
星野監督 そうやな。ヒー(桧山)、ジョージ(アリアス)と打つ方はいい感じだったな。片岡に1本出ていれば面白かったかもしれんな。
―これが生みの苦しみか? 1勝が遠い
星野監督 こういうもんじゃないやろ。1勝が…ってお前、80勝もしとるやないか。50勝のときもあったんやろ。懐かしい? 懐かしさを楽しんどけ。
9月12日
何で焦らせるの?
イジメられる方が幸せなんだって
<試合前>
―名古屋駅はすごい警戒だった
星野監督 何かあったら困るからな。でも名古屋のファンは紳士やで。大阪みたいにわーっとならん。「やめとけ」って言ったらやめる。
―納屋橋(名古屋)からファンが飛び込むという話もあるが
星野監督 どう言うてもやるヤツはやるんかな…。下の川を上げ底にしとけ(笑い)。昔、ある選手が引き潮になっているのを知らずに海に飛び込み、顔面がズルむけになったことがある(笑い)。
―前夜の神宮球場では最後に帽子を取ってファンに応えていた
星野監督 申し訳ないやろ。徹夜して入場して試合は夜の11時まで待ってくれたのに勝てなくて。オレは帽子なんて普通は最後にしか取らんで。
―安藤、ウィリアムスをつぎ込んで必死に勝ちに行ったが?
星野監督 同点の延長で金沢を出せないやろ(笑い)。安藤は球数が少なかったから3イニング行かせた。ウィリアムスで負けたら納得できるやろ。
―M1になれば状況によっては他球場の結果を待つことも?
星野監督 以前には新幹線で決まったケースもあったやろ。オレは(選手、監督を通じての優勝)4回ともグラウンドでできた。今回もそうしたいけど。
―選手より早く飛び出したいのでは?
星野監督 主役は選手や。若いヤツがはしゃぐ中に混じると恥ずかしいわ。でも一番に飛び出しても途中で抜かれるで(笑い)。次打者席ぐらいで待ってないとな。
<試合後>
―あと1本が出なかった
星野監督 おもしろくしたやん。みんな楽しんどったやないか。
―重いムードが漂っている?
星野監督 そうかあ? でも今日の野口はよかったで。いつもより晴れ晴れして投げてた。腕を振ってな。別人のようやったで。低目のボールがよかった。ウチの打者はストライクと思って振ってたもん。
―久保田のアクシデントは驚いた
星野監督 知らんわー。痛えの、かゆいの言うて。おかしいなあ…と思って(マウンドに)行かせたんや。はよう言わなイカン。
―それにしても1勝が遠い感じだ
星野監督 これまでたくさん勝ってきたからな。だから今があるんや。大体やな、オレの予想通りになってきとるやろ、みんなは信用せんけど。なんで焦らせるの? 大丈夫だって。大丈夫だ。いじめるよりいじめられる方が幸せなんだって。オレはいつもそう思ってるよ(笑い)。
9月11日
寂しい内容…おもろない
<試合前>
―前日は観客には楽しめる試合だったが、結果は連敗となった。
星野監督 こうなったら広島に3つ負けてもらって決めようか? 「マジックはてめえで減らせ」と言ったけど改めるわ。「果報は寝て待て」や(笑い)。M5から5連敗で決定、ワッショイ、ワッショイ……じゃ話にならんわ。
―そんなことではビールかけはできない?
星野監督 終わった後にミーティングをやってな。「てめえら、こら!」と怒った後に、それで「じゃビールかけしよう」ってなあ(笑い)。
―まだ甲子園で胴上げになると思っている?
星野監督 そうや。段々オレの予想に近づいてきたな。甲子園の次はどこだ? 東京ドーム? そこでもええよ(笑い)。
―ここまで戦ってきて選手に疲れはあるのか?
星野監督 (優勝目前の)こんな楽しい日々で疲れてるヤツは自由契約やぞ。12球団でウチだけや。ダイエーだって数字的には有利だけどやってる方は必死なんや。見ているみんな(報道陣)はそうは思わんだろうけど。
<試合後>
―死闘の末の引き分け。負けなかっただけマシ?
星野監督 う~ん、ここまで来たらそれでエエのかもしれんけど。さみしい内容やな。おもろないわ。こんな内容じゃ納得できん。
―6回に2死から本塁打されるなどよくない失点も重なった。
星野監督 それ以前の問題やろ。先発投手が5回までに10本もヒット打たれてどないすんねん? この3連戦、全部リードしとるんやで。わずかながら。打線のいいチームは初戦の先発投手が打たれたら、こういうことになる。そういう教育をせなイカン。
―沖原はよく打ったが?
星野監督 打ったけどその前(2回)とその後(10回)がな…。みんな引っ張ってショートゴロや。最後もくそボールを打っとる。レギュラー取ろうと思ったらあの辺やな。もう一歩、グイッと踏み込まないと。
―終盤、安藤、ウィリアムスはよく投げた。
星野監督 見てれば分かるやろ。しかしアイツ(ウィリアムス)はいつもヒヤヒヤさせるな(苦笑い)。
9月10日
こういう時こそ基本に返らないと
<試合前(宿舎)>
―御堂筋パレードが実現しそうだが
星野監督 決まったの? オレはそこまでタッチしないよ。やるとなったら行くだけや。
―明石家さんまは年明けにオーストラリアで約束した通り来る?
星野監督 来るよ。でもあのときはこれっぽっちも(優勝すると)思ってなかったやろな。あいつ巨人ファンだから。こっちもオレの乗った車を引っ張れと冗談で言うてたんや。でも昔と違ってオープンカーは(警備上)難しいやろな。
―負けてもマジックは4。もう間近
星野監督 言うてるやないか。相手がいること。日は決められんよ。でも甲子園に近づいてきたやろ。
―中日山田監督の解任が発表された
星野監督 明日は我が身や。我々はまな板の鯉ですよ。あ、マグロにしといてくれ。高いから。
―複数年契約でもその年の勝負に
星野監督 3年契約でもクビになったらその分の給料がもらえるだけ。1年、1年が勝負だよ。(にやっと笑い)優勝する監督に聞くことやないやろ。
―1年勝負でも中・長期のビジョンをたてなければならない
星野監督 そうね。3~5年の中期的なビジョンを持たないとね。あの強い巨人だって(今年を)見てみい。今年のドラフト(戦略)も中期的なビジョンで考えた。楽しめるんやない? 編成が頑張ればね。
―藪は合流か
星野監督 きょう登録するんちゃう? 今の時点で投げられん、おかしいと言うてたら(優勝に)間に合わんぞ。
―杉山と入れ替え
星野監督 いいものを持ってるけどね。まだ時間はかかるね。
―藪よりムーアの方が仕上がりは早いと
星野監督 ムーアはケガする以前に球そのものが悪かったやろ。それでも早く上がりたいとイライラするから葛西(2軍投手コーチ)とガシャン(衝突)したりする。それじゃあかんでと。でもずっと言うてるやろ。元気にスタートしたみんなと着地したいんや。
<試合後>
―最後の場面、リガンが打ち取った当たりだったが?
星野監督 打ち取っとるよ。カバーしなかった? 抜けたと思ったんじゃないかな。基本がなってないわな。こういうときこそ基本に帰らないと。
―終盤、ピンチをよくしのいだが?
星野監督 だから安藤にしても(真中が)何をやってくるのか分からんときはボールから入るとかしないとな。井川だってホームランのある打者にはボールから入るとか低めに投げるとか考えないとね。もちろん考えてるんだろうけど考えてるだけじゃな…。
―井川は粘って投げたが勝てなかった。
星野監督 もったいないわな。しかし6回以降、何本ヒット打たれてるんや? 9本やろ。ランニング不足やな…。
9月9日
取れるところで取っていない
◆試合前
―胴上げには浜中、ムーア、藪らを呼ぶ。
星野監督 中日時代もそうやってきたからね。1軍選手登録はできないけどユニホーム着てベンチの後ろで待機してればいい。ジャージじゃ格好悪いやろ。
―今岡はまだ無理か?
星野監督 そろそろ打撃練習を始めるんやないかな。(今岡)誠には「(優勝決定の)その日は最初から最後まで行くぞ」と伝えたけどね。ニヤ~ッと笑ってたわ。
―選手は優勝決定の瞬間にグラウンドにいたいものか?
星野監督 そりゃあそうだ。当たり前や。でも9人しかいれないんだもんな。昔、中日のとき山崎がケガして出られずかわいそうだったな。
―このロードでその瞬間を迎えるのは間違いない。
星野監督 まだまだや。オレは甲子園って言うてるやないか。ええやないか、じっくり楽しめば。子供は好きなものをチビチビ食べるやろ。じっくり味わおうや、滅多にないんだから(笑い)。
◆試合後
―5回は2死から7失点となった。
星野監督 みっともないな、今日は…。マジックを消すような試合じゃないな。まるで消化試合みたいなゲームやった。
―伊良部の調子は良くなかった?
星野監督 打たれたんだから良くないんやろう。2死からな。5回までも特別よくなかったし。内容の悪い試合が続く? そうやな~、ちょっと考えなイカンなあ…。
―崩れる予兆のようなものはあったのか。
星野監督 5回よりも4回、ラミレスに打たれたホームランがな。くそボールを2球振ってるのに最後はストライクや。あれでリズムが狂ったな。まあ野球いうのはそんなもんや。
―打線も爆発できなかった。
星野監督 取れることで取ってないしね。それだと、こうなる。答えは分かっとる。珍しい? まあ年間を通じたらいっぱいあるけどね。
9月7日
胴上げ?どこでもいいやん
◆試合前
―昨夜、本塁打の判定に抗議にいく足取りはゆっくりでした
星野監督 別に走らんでも向こうから来るやん。アホらしくて。こっから見てても分かるものを…まあ、ええやん。
―監督業は選手より疲れる?
星野監督 おまえら(担当記者)も監督の立場になって試合を見てみ。疲れるで。でも瞬間、瞬間の楽しみもあるけどね。
―金本は心配では
星野監督 本人に聞いてくれよ。休めというても出るやろ、あいつは。きょうは松葉杖をついてレフトの守備に就くと言うてたぞ。
―昨夜からずっとアイシングを
星野監督 ねん挫はオレも経験あるからね…。
◆試合後
―金本がよく…
星野監督 福原や! ゼロで抑えてくれたんやで。6回まで0(最近の先発投手で)だれもおらんやろ。終盤になってああいうのが出てくる。チームが乗ってるからこそ。大きいよね。
―攻撃では
星野監督 沖原や! あいつが3回、塁に出てチャンスを作ったやないか。初回だって(無死一、二塁)3、4番がぶさいくな打撃(連続三振)したやろ。だから金本より沖原や。
―先制適時打は金本
星野監督 タイムリーは金本やけどお膳立ては沖原や。レッド(赤星)もようつないでたしね。ああいう形がベストなんやね。最後に決めたのがジョージだし。(猛攻のきっかけを作った)沖原がヒーローです。
―しかし金本も痛む足で
星野監督 あんなもの自分が悪いんやないか。でもたいしたもんやなと思うよオレも。痛いのにようあそこまで頑張った。あいつは肉離れやねん挫は「公傷」だと思わん主義やから。そういうのをタイガースに浸透させてほしいな。
―球団タイの80勝
星野監督 選手がみんな考えられんぐらいかせいでくれたね。1度もないの?
―64年に1度
星野監督 そんなもん、オレが生まれた年やないか。みんなだってだれも生まれとらんやろ。(新記録は)時間の問題だよ。あとひとつぐらい勝つだろ。
―カード22勝も新記録
星野監督 横浜とは全部競り合い。楽に勝てたのなんか5つぐらいだろ。少しヘマしたら負けてるゲームだってあった。来年に生きるかというのは…警戒していかんとやられるよ。心していかんとな。
―来週はロードです
星野監督 死のロードか?
―Vロードです
星野監督 そうか。場所? それは相手様のいることだからな。でもオレの予想(甲子園に戻って胴上げ)に近づいてるだろ。
―1週間後に?
星野監督 そんなことは約束できんし…いいやんどこでも。
9月6日
吉野は最初に打たれたことが尾を引きすぎたな
◆試合前
―劇的な勝利だった
星野監督 矢野はえらい飛び上がって腰をひねってたな。また痛いとか言うたらどうするんやと思って見てたわ(笑い)。「放り込め」と言って送り出したんだけど言うてみるもんやな。まあ(ギャラードは)チェンジアップと真っすぐしかなくて7割が真っすぐやから狙いやすかったやろうけどね。
―この試合で勝てば球団タイ記録の80勝だ
星野監督 もうそんなになっているのか? 70勝からはよう知らんわ。どこよりも早く70勝するということでやってきたから。それも新記録なのか? しかし、それは絶対到達するわな。
―観客動員もこの試合で新記録になる
星野監督 超すのか? 前はいつなの?
―ヤクルトと優勝争いをした92年。八木の幻の本塁打があった年です。
星野監督 なんだそれは。フェンスの上ではねてスタンドに入った? ふうん。そんなのがあったのか。でも甲子園はイカ焼きの煙が漂ってボールが見にくいからな。
―胴上げの日について監督は15日以降と話していたがそろそろ修正する?
星野監督 なんでや。まだまだ負けるって。だってタイガースやぞ(笑い)。今年は違う? まあ昨日は負けたと思ったけどなあ…。
◆試合後
―6回、吉野が逆転打を食らったのが痛かった。
星野監督 今まで抑えとったんやけどな。まあ(鈴木に)打たれたのは仕方ないとして、その後がイカンな。完ぺきに盗まれて走られて、打たれた。1点差ならどうにでもなるのにな。最初に打たれたことが尾を引きすぎたな。まだそのレベルということや。
―疑惑の本塁打に金本は抗議していたが。
星野監督 みんな(報道陣)はどう思うんや? まあ、まあ、まあ、まあ。見間違いはあるわな。
―クロスプレーでも微妙な判定があった。
星野監督 あれは沖原が(一走に)差し込まれてるのがイカンな。まあ、みんな、まだ勉強ということや。でも内川はあんなことしてたら大けがするぞ。あれはファイトとは言わん。ショート、セカンドに狙われるぞ。オレもこわいわ。
9月5日
劇的勝利?オレは冷静にしゃべれないよ
<試合前>
―戦列を離れていた桧山が1軍に復帰した
星野監督 練習生や(笑い)。しんどいときに抜けたんやから、よっぽどいい仕事をせんと失礼や、ここにいるヤツに。マジで。
―前日は下柳について「もう言い飽きた」と話したが
星野監督 みんな(報道陣)も、もう聞かなくてもオレの言うことは分かるやろ。予期せぬ答えを期待してるんか? そう言えばシュワルツネッガーがタマゴを投げつけられたときに「ベーコンも」とか言ったっちゅうのは機転が効いていいな。ああいうのを勉強しとるんやろうな。ピザのときはタバスコ…とかいろいろあったりしてな(笑い)。選手ももっと受け答えの勉強せなアカンわ。「応援よろしくお願いします」なんてイヤになるぞ。
―前日は試合後に関西に戻ったが広島駅ではファンに囲まれなかったか?
星野監督 いやあ全然。そんなことより新幹線の中で選手がマンガ読んでるのが腹立つ。マンガ読むなら(グリーン車でなく)普通車に乗れって。だからプロ野球選手がバカにされるんや。そこから(選手教育を)やらなアカンのか。別に朝日新聞を読めとか日刊スポーツを読めとは言わんが…。マンガでも歴史物とかなら分かるけどな。ホンマにしょうもないマンガ読んどるんや。
<試合後>
―劇的勝利だ
星野監督 よく冷静に言えるな。オレは冷静にしゃべれないよ(笑い)。
―矢野はよく打った
星野監督 放り込んでこいと言って送り出した。期待薄だったけど…。低い当たりだったので逆に風に乗ったかな。
―矢野も猛烈に喜んでいた
星野監督 それで当たり前やないか! 誰でも喜ぶわ! 喜ばんのはオレぐらいや。(逆転勝利して)当たり前と思ってるからな(笑い)。
―それまではしんどい試合だった
星野監督 ピッチャーが同じこと(先頭打者に四球を出しての失点)しとるからね。人のピッチングを見て自分に置き換えないと。しっかりコーチが指導せなイカンわ。若い投手はそういうところが勉強や。そりゃあ1試合に1度ぐらいはあるけどそこで何とかしないとな。はまっとったらイカンのや。
―ゴールまで、いよいよ一直線だ
星野監督 決まりきったことを聞くな。秒読み段階だけど相手じゃなく自分たちで1つ1つ解決して行くんだ。
9月4日
下柳はまた完封すると思ったわ
<試合前>
―井川は地元に戻ったが?
星野監督 大丈夫だと言ってたよ。かっこいいプレーしようとするからや。アイツには泥臭いプレーが似合うわ。
―前日の試合は阪神で初勝利の石毛ら、中継ぎ陣がよく投げた。
星野監督 昨日は井川のアクシデントがあったからな。どれだけゲームにできるかというところ。それをどう勝ちパターンにできるかやな。
―金沢はやはり慌てたのか?
星野監督 何も慌てることはない。いいというまで準備できるんだから。まあ気持ち的には焦るもんだけどね。でも四球を出して投手にヒットを打たれていてはダメ。信用できなくなる。その点、安藤は(信用される)過程を踏んできたわな。
―赤星は盗塁の球団記録を打ち立てた。
星野監督 昔とは比べられない。今の方がすごいよ。投手のクイックモーションの技術が進んでいるし。オレなんか「走るなら走れ!」とか言って投げてたからな(笑い)。今の選手の方がレベルは上だよ。でも個人の体力と、投手のコントロールだけは昔の方が上だな。
<試合後>
―逆転された6回、下柳は監督の気に入らない点の取られ方だった。
星野監督 もう言い飽きたわ。投手に四球出して…。その後もヒットならまだしもホームランはな…。何とかせないかん。
―それまでは好投していたのだが。
星野監督 会心のピッチングちゃうか? また完封すると思ったわ。何年ぶり…とかの つめ ぶり つめ がまた出てくると思った。
―それが1つの四球で流れが変わってしまった。
星野監督 そうや。あれがすべてや…。
―打線もチャンスをモノに出来なかった。
星野監督 打つ方は7回の満塁やな。あそこで追いつき、追い越さなイカン。ブロックは好投? どうでもいい感じで楽に投げてたから、球がピュッと来てたな。
―今岡の連続出場が…。
星野監督 試合に出てないヤツの話はせんでええ。
―これでいったん、甲子園に戻ることになる。
星野監督 戻らなしゃあないやないか(苦笑い)。
9月3日
中継ぎがよう粘ったな。クソ暑いブルペンでやってるんだぞ
◆試合前
―前日は球審が体調不良を訴え、途中交代した。過去にそんな場面に遭遇したことは?
星野監督 あれはどうしたの? 動悸が激しくなった? 分かるわ…。昔、まだ線審があった頃、右翼線審を務めてた柏木さんという人が倒れるのを目撃したな。フラフラとしてビックリした。それ以来やな。まあ大事にならずによかったやないか。
―マジックはいよいよひとケタになった。これからプレッシャーかかるのか。
星野監督 最初に49で点灯してからちょうど40減ったのか。長かったな。プレッシャーがかかるのは優勝決定する試合ぐらいやろ。勝って決めようと思うからな。
―前日は「優勝決定は15日以降」と話していたが修正する必要があるのでは?
星野監督 予想は変わらんよ。今もその頃になると思ってる。まだ負けるよ。まあ、そう言っとこうという考えもあるけどね(笑い)。
◆試合後
―最後はどうなるかと思った。
星野監督 どうなるって、サヨナラ負けするか、勝つかどっちかに決まってるやないか。長谷川も荒れていたけど捕まえられなかった。替えてくれてありがたかった。まあ向こうも球数が多くてアップアップしてたからね。
―7回は鮮やかな逆転劇だ。
星野監督 ツル(片岡)がようひっくり返してくれたな。本人は「入ったと思ったのに……」と言ってたけど、バカヤローッって(笑い)。オレは「抜けてくれ、抜けてくれ」って言ってたわ。
―井川はいきなりのアクシデント。
星野監督 調べたら軽傷だったらしいわ。重傷の方がよかったか?(苦笑い)。
―あの瞬間はめずらしくマウンドまで足を進めた。
星野監督 いや投げさせる必要がないから。試運転みたいなことをしてたからやめろって。(ゴロ処理で)リガンのマネなんかして手を出すからや。不器用なのに。放っといたらゲッツーやぞ。
―接戦をなんとかつないで逃げ切った。
星野監督 中継ぎがよう粘ったな。クソ暑いブルペンでやってるんやぞ。
―本当に優勝へ一直線の勢いだ。
星野監督 ペナントレースの開幕から最後まで一直線に行からアカンやないか。それが目標でやってきたんだから。まあ近づいてきたことは確かだけどな。
9月2日
伊良部はよう2点でおさまった
<試合前>
―チャールズ・ブロンソンが死去した
星野監督 そうなの? ふうん……。81歳? 考えてみればウチのオーナーぐらいなんだな。でもマンダムのコマーシャルはかっこよかったよなあ。
―マジックはひとケタ突入目前だが?
星野監督 (マジック対象の)広島とは試合消化数が9試合も違うからそうなっとるんやろ。そう気にするな。まあゆっくり行こうや。
―偵察部隊を出す話題も出てきた
星野監督 また007とか見出しがついてたな。おもろないわ。いっそのこと(監督の背番号に引っ掛けて)阪神0077…とかつければ読者は「何のことか?」と思うんやろうけどな(笑い)。
<試合後>
―アリアスの調子が一気に上がってきた
星野監督 大分、戻ってきたな。(甲子園の)巨人戦ぐらいからかな。完ぺきなバッティングやないか。1本目は外のスライダーを打って2本目は右へ打ったな。
―常に右打ちができれば3割は軽いと星野監督が言う打撃ができたということか?
星野監督 年間に何回かしかできんけどな。その期間を長くしてほしいな(笑い)。
―伊良部はよく粘ったと見ていいのか?
星野監督 粘ったというよりバテバテや。よう2点で収まったと思うよ。リガンがジーッと(粘って)やってくれたからな。だから3点入ったんや。
―点差以上に厳しい試合にも見えたが
星野監督 ミスが多いなあ。殺せるところも殺せてないし。9回でいっぺんに気分が悪うなってしもたわ。
―マジックはついにひとケタの「9」となった。
星野監督 う~ん? そんなもん、勝ちゃあ分かっとるがな