というわけで、冬后(藤原啓治さん)登場
※あらすじ
テストパイロット候補生として、横須賀にやってきた音羽は、同じ候補生の可憐と出会う。迎えに来た冬后少佐に追浜(おっぱま)基地へと案内される二人。そこには一足早く到着した瑛花がいたが、瑛花は音羽達を快く思っていない様子であった。そして音羽達は、自分たちの乗る機体、ソニックダイバーと出会うのだった。
★↑公式サイトのあらすじですけど、冬后少佐となってますw
【第2話・ソニックダイバー】
戦闘機で追浜基地に降り立った瑛花は、釣竿を持った男に声をかけられた。
「おぉぅ…話には聞いていたが…やっぱ、若いね。まだ…」
「まだ子供だとでも?」
男が口にする前に瑛花が答えた。
「そういう時代だってのをつくづく実感しちまうってこと」
「これでも私は…!」
「一条瑛花。春日の上級訓練生のトップなんだってな?そんなエリートが自らここに志願してくるなんてな…。いや、物好きっつうか、なんていうか…」
男は苦笑する。
その態度に、瑛花は声に怒気を含ませる。
「失礼ですが!」
「あ、わりぃ。俺は冬后中佐、つうんだ。一応、お前の上司」
男は冬后中佐。オールバックに、ぼさっとした髪。どこかつかみ所のない話し方。瑛花は見た目から上官とは知らず、生意気な態度をとっていた。
直ぐにさま訂正するように敬礼した。
「…!一条瑛花・上級訓練生!春日基地よりただいま到着いたしました!」
「おう。よろしくな、お嬢さん」
言い残し、背を向け歩き出す。
すると呼び止めるように瑛花が冬后に伝える。
「中佐!私事ですが、その呼ばれ方は好きではありませんので」
「あぁ親父さん絡みか…。ま、そう神経質になりなさんな。ここじゃ、親が誰だろうと気にするやつはいねえよ。魚屋だろうと提督だろうとな……。着替えたら司令室まで来てくれ」
「了解しました!」
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「本日付で、第13航空団への移動を受理しました。ここは独立特殊部隊に属しますので、いろいろと勝手は違うと思いますが、成果に期待します」
司令室では緋月が待っていた。
緋月は瑛花の転属を許可し、部隊の簡単な説明を行った。
「お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「許可します」
「自分以外のパイロットは?」
「今のところ、2名確定しています」
「所属部隊は?」
これには冬后が答えた。
「部隊なんかねぇよ。何しろ他は、民間から集めたんだからな」
答えた声からは、どこか気に食わない抑揚が感じ取れた。
「し、試作機のパイロットを候補を、民間から召集したのですか?!」
「この緋月少尉のお考えでね」
(民間からですって?!冗談でしょ?!)
瑛花は信じられなかった。危険を伴う上に、素人同然の民間人の起用。限られた試作機への登場と、どれをとっても納得がいかない。
そのとき、ふと頭の中に先日の模擬戦が浮んだ。
戦闘機での戦闘に自信のある自分が負けたパイロットがいる。
それを緋月に伝えた。
「自分は、春日で一度だけ、新兵器との模擬戦を行いました。その時のパイロットがいたはずです!」
「彼女は正式なパイロットではありません。臨時の…協力者ですから」
「協力者…」
緋月は冷淡に眼光鋭く答えた。
正式なパイロットではない。事実に瑛花は驚愕した。
模擬戦の相手は軍人でもなく、正規のパイロットでもなく、ただの協力者に負けたのだから…。
▼
横須賀に向かう電車の中、音羽は車窓に見える富士山に感嘆の声を上げていた。
瀬戸内海の島から出たこともなかった訳であり、もちろん電車に乗るのも生で富士山を見るのも初めて。少々田舎くさいが、当然の反応と言えるだろう。実家から持ってきたものか、みかんをつまんだ。
気がつくとみかんの皮は2つに増えていた。
何か思い出したように、鞄の中を探り袋を取り出した。中にはいっぱい飴が入っていた。
飴を見ると何だか故郷を思い出し寂しい気持ちが溢れてきそうになった。
海女のおばちゃんたち、お母さん、そして祖父の顔が浮かんでしまう。
「もう…元気だせ音羽」
自分を励ますように呟いた。
▼
電車は茅ヶ崎駅に到着。
ホームには可憐が立っていた。どうやら彼女も音羽と同じ電車に乗るようだ。
空席を探し、車内を見渡す、どこにも男性ばかり。
やっと見つけたと思った席にも男性。男性恐怖症はいろいろと大変のようだ。
仕方なく空席を探し車内を移動。向かい席に寝ている音羽を見つけ、ここなら大丈夫と座った。
ようやく見つけた安心できる席で、荷物から一通の封筒を取り出した。
宛名には薗崎可憐と書いてあった。
数日前―
可憐は大学のキャンパスで友人と別れを交わしていた。
「お世話になりました」
「ふ~ん…可憐ちゃんが軍人にね」
「新型飛行機のテストをするだけのお仕事ですから」
「また会えるよね?」
親友の弥生は可憐の手を握り聞いた。
「はい。弥生さんもお元気で」
「きっとよ?手紙頂戴ね?」
「もちろんですよ!」
「あ、でも私はメールで良いからね。勿体無いから」
「でもよく決心したね。お勉強が趣味みたいな感じだったのに、まさか軍なんて」
「私、誰かの御役に立ちたいんです。それに…」
封筒の裏には「神奈川県相模原市」と書いてあった。
可憐が軍に入ることを決めたのは、誰かの役に立ちたいと思う気持ちと、兄の後押しがあったようだ。そして兄の住む神奈川に行けるという理由もあったようだ。
▼
横須賀に着き、身支度を始める可憐。
相席していた音羽は目を覚まし、電車を飛び出していった。
可憐が駅を出る音羽が多さに驚き声を上げていた。
可憐はそれを不思議そうに見つめていたが、目の前に軍艦を見つけ横須賀基地に来たことを実感した。
「遅いですね…」
「遅いなぁ…」
定刻になっても迎えが現れず声を出してしまった二人。
「あ、さっきはありがとう!ここで降りれなかったら、私きっと戻ってこれなかったもん。電車乗るの初めてだし、ホント助かったよ」
「 い、いいえ…」
音羽が可憐にお礼を言っていると、駅前で引ったくりが発生。正義感の強い音羽は持ってきた木刀を取り出し立ち向かう。
間合いを取り木刀を構える。男のほうは後ろ手にナイフを取り出す。
可憐は男がナイフを取り出したkとに気づき、鞄を男に投げつけ、見事に命中。
怯んだ所を音羽が木刀で一撃。以外にもあっさりと撃退してしまうのだった。
この事件もあり、意気投合した二人は互い出身地と旅路を語り合っていた。
しかし可憐のいた仙台が分からない音羽は話を続けられず、妙な間ができてしまう。
そして二人は再び…
「遅いなぁ…」
「遅いですねぇ…」
再びハモってしまった二人。
気になった可憐は音羽に聞く。
「誰かを待っているんですか?」
「あなたも?」
と、そこへジープに乗った冬后到着する。
二人の顔を確認すると、既に一緒にいる二人を見て一言。
「何だお前ら?もう顔見知りか?」
音羽と可憐は互いの顔を見合わせた。
◇
なんと、7000字もオーバーしてしまいましたw(10000字までしか書けないw)
なので、下に続く!!!