保坂さんは故半藤勝利さんとともに、昭和史を深く研究している人、明快な思想はちょっと左っぽくて知性的なものだが、
この記事はどうだろうな。「政治テロ」を定義するのもつまらない話だが、世の中の悪を一掃しようとする内面的な精神力をして行動に至らせるのがテロだとわたしは思うのだ。2.26事件の青年将校たちなどそのいい例で、自分たちは恵まれた環境に育ち、軍人としてエリートコースを歩んだ人たちだが、農村の疲弊とその実情を部下から聞いて立ち上がったというのが動機の一部でもある。直近のフランスでの乱射事件もまた移民や宗教に対する扱いに不満を持ち爆発したのではないか?だとすれば、安部晋三射殺容疑者の山上はこれらに当てはまらない。彼は母親が宗教に狂って一家をぶち壊したのを恨み、心情をすぐれた文章力で表現し、それを保坂さんは解釈したのだと思う。しかし山上はそれを社会に公表しようとしたわけではなく、鬱積した感情を書き留めただけである。その感情は文章にぶつけるだけでは飽き足らずに行動に移したということではないだろうか。いわば自己破滅型の行動を取ったとみるべきで、彼は自分を意識的に生活苦に追い込み、犯行へのエネルギーにしたのだろうと思う。もし彼がきちんと仕事をし、納税をしていたら、そのような感情は外部に爆発することはなかったろうと思われる。
社会的に衝撃的な事件は、文筆家にとっていわば食うためのチャンスでもある。まあ週刊誌を買って読んでみてまた再考はします(笑)