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南カリフォルニアの青い空

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2021.10.03
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*数年前から連載してる、地元の月刊誌、10月号がでました。考えたのですが、写真を撮って載せると、字が小さくてよみにくいので、原稿を貼ることにしました。


 アメリカのプレジデント・ウィルソン号で横浜港を出たのは1964年4月の末で、ハワイに着いた頃は5月になっていた。当時はカラカウア通りを車で走るとビルと椰子の木の間に間にビーチがみえ、泳ぐ人、カヌーを漕ぐ人、サーフィングする人などを楽しめた。ムームーを着て花を髪に飾ってる人、水着で大通りを歩いてる人も大勢いて、「あ~、これがハワイか!」と、すべてが物珍しかった。

 勿論テレビも珍しくてよく見たが、6月に入った頃、学校の卒業式を放映してるのを見てアメリカの学校は夏休み前に終わるのだと知った。つまり進学先が決まった後で、安心して思いっきり遊んでから新学年に挑むわけだから、心身ともに余裕があって良いシステムだと思った。

                 *

  「人間は、死ぬまで学ぶものです」と祖母に言われ続けて育った私はその教えを忘れず、子育てを終わらせた49歳で大学生になり53歳で大学を卒業し、公立高校と私立大学のパートの教師になった。小学校から学校の先生になりたかった夢をアメリカで叶えたのである。日本では考えられないことであろう。戦後の日本の母子家庭では食べるのに精いっぱいで、ともすれば高校に行く余裕さえなかったから、大学など果てしもない夢であった。又、相談する先生の判断が進学に影響したから、その先生に嫌われてる学生は夢をつぶされる可能性も充分あったと思う。たとえ経済的に困らない人でも、両親そろっていないと推薦状を書いてくれないとか、親の職業や収入、ワイロまでが入学基準に影響した時代であった。

「お父さんいないんだろ?お母さんの仕事は何?お宅の経済力では昼間の高校は無理だよ」そう言われた若者達は、成績優秀でも定時制の高校や大学に行かされたのだが、日本の社会は卒業後の就職も昼の学校の卒業生と別扱いされるような雰囲気でもあった。

 例をあげると、両親がそれぞれ再婚、母親がアメリカに住んでいた従兄などは定時制大学の英文科卒で英語は抜群だったが日本の会社は見向きもしなかったので外国の会社に応募、一回の面接で合格し差別もされずリタイアするまで勤め上げた。このように日本の社会は肩書に重きをおき、欧米の会社は実力を重視した。

 日本のそれほどではないが、アメリカの高校でも大学の進学相談には、カウンセラーが個人的にアドバイスをするというので、私は日本の経験から、アメリカの学校ではどうするのか興味があった。ある日、娘が不機嫌な顔で帰宅し、「カウンセラーが、あんたは女だから映画監督になるなんて考えをやめなさい、あれは男の仕事だよと言った」と報告したので、憤慨した私は翌日高校に行き、男女同権を主張するという噂のカウンセラーに替えてもらった。そのカウンセラーに「男女関係ありません、夢に向かって進みなさい」と激励されて娘は意気揚々と帰宅した。

 大学で映画科時代に、教授が国際アジア映画祭に内緒でだした娘の作品が2位になり、卒業後アメリカで1番若い女性のアニメ監督となった。数々の賞をとり2021年は娘の監督したアニメシリーズがピーボディ―賞を獲得。娘自慢になってしまって申し訳ないが、カウンセラーの意見で将来のコースを決められる事の危険さを感じた1件を書きたかった。同時に不服であったらとことん挑戦できる社会構成はアメリカの長点でもある。思ったことを言わないとどんどん蹴落とされていく社会がアメリカであるから、強くならざるを得ない。

 アメリカの大学システムは、朝から夜までのクラスの中から自分のスケジュールを自由に組む事が出来るので、昼間働いて夜のクラスだけを選んでも就職には関係ない。同級生にカナダからの留学生がいて、夜10時から朝の6時までお年寄りの介護をする仕事なので、勤務開けに自宅に立ち寄ってシャワーを浴び朝食をしてから大学に来ていた。

 更にアメリカのシステムの良いところは必修科目を入れて合計120ユニットのクラスを合格点でとれば、2年で終わらせてもいいし、10年かけて終わらせてもかまわない。ちなみに、娘の小学校の同級生は22歳で医学博士になったし、85歳で大学を卒業した近所のご婦人も知っている。つまり、私のように53歳で卒業して教師になる事も別に驚くことではない。更に大学を替えるのも簡単で、母校には修士号のコースがなかったので別の大学に行ったのだが、テストも無く簡単に入る事が出来た。このように、年齢にも時間にも関係なく学べるアメリカの教育システムは合理的だと思う。日本にもこのシステムが取り入れられたら、経済的に苦労して勉強したくても出来なかった人々にチャンスを与える事が出来る。また、「その歳では無理」と言わずに、社会的経験豊かな人を雇う企業が増える事を祈っている。
 
 






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最終更新日  2021.10.03 06:46:45
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