妖の船(新かちかち山)人を呪わば穴二つ、呪いの先にあるものは共に滅びる修羅の道、 復讐の連鎖を止めるのは許しという慈悲だけです。 許すことのできぬ憎しみの炎が焦がすのは、憎きあなたとこの我が身、 たとえこの身を焼こうとも、あなたを討てればそれでいい、 呪いの先にあるものは共に滅びる地獄の業火・・・ 第4章 妖の船 前回の事件で島の若い男たちは皆死んでしまい、残されたのは女子供と年寄りばかりでした、 ポン太は銀狐に魔法で小さくてみすぼらしいけれど丈夫な船と、 大きくて立派に見えるけれど合図をしたらたちまち消えてしまう妖の船を出してもらいました。 ポン太に騙されたことを知らない島の人達をポン太はもう一度焚き付けます、 「銀狐は怒り狂ってもう手がつけれれない、この島から逃げなければ殺されてしまう」 「幸い港に隠してある船を見つけたそれに乗って逃げよう」 そして大火傷を負って苦しんでいるミミにこう言います。 「その火傷にはお前が殺した玉藻の呪いが込められている、このままではお前は3日ともたずに死んでしまうだろう」 「ここに呪いを抑える薬がある、これを火傷に塗れば、痛みは今よりも増すが命を失うことはない」 ミミは迷いましたが生きたい一心で薬を塗ってくれと頼みました。 ポン太が用意した薬は銀狐に頼んで作ってもらった毒薬でした。 薬を塗ると火傷は見る見るうちに悪化し、激痛が襲います、ミミは痛みに悲鳴を上げてのたうち回りました、 痛みで朦朧とするミミを引きずるようにしてポン太は言います、 「さあ、早く逃げないと銀狐が追ってくる、この娘は玉藻の敵、それに火傷で弱りきっている、 何かあったときに皆を巻き添えにしてしまう、私と一緒にこの小さな船に」 「もしもの時はきっと銀狐はこの小さな船を追ってくる、だから皆はこっちの大きな船に乗って逃げてください」 船が沖に出てしばらく行くとポン太は海に餌を撒き始めます、不思議に思った女達は何をしているのかと聞きます。 「な~に、ようやく沖に出て一安心、腹も減ったことでしょう、釣りでもして食事の準備をしようと思います・・・」 しかし集まってきたのは魚ではなくたくさんのサメでした。 そこでポン太は船にかかっていた魔法を解きます、大きな船はたちまち幻と消え女達は海へと投げ出されます、 サメ達は我先にと女達に襲い掛かり海は真っ赤に染まっていきます。 昨日まで仲の良い友であった者達がサメに身体を食い千切らされ肉片に代わっていく様をミミはただ茫然と眺めていました。 サメ達の食事が終わり海面が静けさを取り戻しかけたとき、 ポン太は火傷で身動きの取れなくなったミミを抱え上げ静かに海へと投げ落としました。 散っていったサメ達は新たな獲物を見つけて群がり再び海面を赤く染めます。 ミミの体に激痛が走りやがて意識が遠のいていきます・・・ 続く・・・ |