昔、長野の実家で魚屋さんをやっている親戚のおじさんから「素人の値切りとプロの値切りは違う」という話を聞いたことがあります。
曰く、プロが例えば卸し業者から魚を値切って買う場合、例えば「キロ1000円の魚をまとめて10キロ買う。代わりに9000円にしてくれないかなあ?」相手はそれに対して「それではこっちの足が出てしまう、9500円なら」「じゃあ、9500円で買う代わりにそっちの魚を安くしてくれないか」「仕方ねえなあ、じゃあこっちの魚も5キロ持っていってくれ」という攻防があり、そこでお互いが利益を出せる水準を見極めたうえでの値切り交渉成立になるそうで。
しかし、素人客の値切り方というのは基本「自分に安くして」のみ。「隣の店では20円安かった」「せっかくここまで買いにきたんだから」「もっとサービスしなさいよ」etc
プロは今後も商売関係を良好に保ちたいからこそ、自分の利益だけで考えない(長い目で見た場合、信頼関係を築いた相手のほうがいろいろと融通が利くし、場合によっては損を承知で引き受ける事もある)のに対して、TVで見聞きして真似するオバさんは一方的に「一円でも安くしろ」の声ばかり。こういう相手に安易に値引きしてしまうと味を占め、次からも「前回は安くしてくれたじゃない!」とゴネる悪客になって、かえって損をするケースが往々にしてあるとか。(値引きに応じないと悪口わめき散らして去っていくなど)
魚屋さんでも、本当の常連のお客さんであれば何も言わずとも「今日は○○がいいのが入ったから、一匹オマケしておくよ」のような上客に対するサービスはある。これも常連という信頼関係が築ければ互いにメリットがあるからこそ。また、そういう相手であれば相手が迷っているときに値引き交渉に応じてもよいと判断する。一見さんとは違う。
素人がゴネて相手の事を考えない値引きを強要するようになったら、それは買い物上手ではない。単なるタカリです。売り手側もイライラが募るだけ。塩を撒かれる前に気がつきましょう。