任天堂の宮本茂さんが今回3DSのスーパーマリオの新作の開発について語っているインタビュー記事で「開発期間は2年、最大30人体制で作った」という話を聞きまして「ああ、触って面白いソフトを作るのと物量がすごいソフトを作るのとは違うんだな」という感想を抱きました。
自分でもゲーム開発をしているのでわかるのですが、触って面白いゲームを作るのには、どちらかというと基礎研究期間が長いんです。一つ一つの動作や感覚を確かめながら作る。だから、例えば地形が簡素化、記号化されたパーツで組み合わされたモノの方が作りやすい。こういう場合はスタッフ間の意志の疎通や細かな変化に即座に対応できるために、少人数である方が小回りが効いてやりやすい。でも、人数が少ないが故にリアルな表現やモデリングなどは難しい(人月計算的に)
それに対して圧倒的な物量とグラフィックの壮大さで魅せる場合、個別のパーツの品質が重要になるので、どうしても人数が多くなる。例えば海外のリアル系TPSなどでも、エリアマップごとに別の開発会社に発注したり、スタップロールが10分以上続くような、そんなサイズになる。当然、こうなるとかかる費用も桁外れになり、大人数がかかわるだけにちょっとした修正も大変になったり。
で、どちらも大変なんです。で、大事なのは「どうやって利益を出すか」ということ。短期間で安価で作ったといっても、注目されず売れなければ意味がない。逆に200万本売ったのに赤字、なんて海外のゲームもあります。
今回のマリオは少人数で作ったようですが、例えばスマブラは最大100人以上で作ったりと任天堂の中でも差があります。が、要はお客さんが楽しめたかどうかがゲームの価値です。
最高級の食材を惜しげなく使ったのにあまり旨くない料理もあれば、その辺のスーパーで材料を買った手軽な一品の料理がすごく旨い場合もある。
ゲームの旨さとは「熱中度」だと思うので、いかに最適な開発サイズで作るかが大切じゃないかと。そして、熱中度が高ければグラフィックが簡素であってもそれは「手抜き」とは言わない。最適化されている、と言うべきだし、逆であれば「無駄」になる。
総制作費○○億!とか、製作○年!みたいなのは売りにはなりませんな。