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今日は終戦の日ですが、宮城事件、というのをご存知でしょうか?
岡本喜八監督による映画「日本の一番長い日」の元になった出来事なのですが、天皇がポツダム宣言を受諾し、降伏をみとめることを阻止しようとする将校らが皇居や軍内部で起こしたクーデターで。 この当時東京を含む大都市は空襲で焼かれ壊滅状態、沖縄も占領され、広島、長崎にも原爆が投下され、日本の敗戦は確実になっていた、しかし、それを認めない、徹底抗戦を主張する一派が玉音放送を阻止すべく反乱を起こした事件。 この時、すでに軍部には「この国の人々を守る」という発想は消え失せ、「本土決戦ですべての日本人が華々しく散る」ことを目的とする、もはや全国民を巻き込む特攻隊思想という、本末転倒の状況にあり。 ここには「ここまで死んでいった人々への申し訳が立たない」という名の「責任を取りたくない」というおぞましい思考が根底にあります。もし、敗戦を受け入れたら、自分たち戦争指導者は敵によって裁かれる。それによって受ける懲罰や怨嗟、責任に耐えられない、だったらみんなで死のうという、そういう思考でしかない。 結局このクーデターは失敗し、日本は敗戦を受け入れる。本土決戦をしていたら、さらなる死傷者が出ていたことは明白で。しかし、そんな単純な判断すら、彼らにはできなかった。自分たちのプライドのためにさらに何百万人の犠牲もやむおえず、と考えたのでしょう。 これはギャンブル狂の思考に似ていて。ここでやめたら今までつぎ込んだお金がパーになる、莫大な借金が残る、明日から生きていけない、怖い、だから更なる無茶な賭けをする・・・ 宮城事件は失敗に終わり、首謀者の何人かは自殺しました。が、実際は、戦後の軍の組織解体のどさくさで結局罪は問われず、戦後何事もなく生きながらえた将校もいる。中には戦後も「あの時、日本は本土決戦すべきだった」と言い続けた将校もいる。 絶対に負けるとわかっていても、責任を取りたくないがゆえに、自分のプライドのために他人を地獄に引きずり込もうとする人間もいた。こういう連中がこの国を狂わせた。 戦後75年もすると「あの戦争は正しかった」「日本はやむおえず戦争を始めた」「日本が占領したおかげでその地域の文化水準が上がった」「日本は感謝されている」といった、狂ったことを平気で言いだす人間が出てきた。 しかし、どんないい訳も上のような土壇場での見苦しい茶番劇に奔走するような、そんな戦争だったんです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.08.16 10:11:04
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