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世の中、すこしいい風が吹いてきたのかな、と思うこと。
今回、田代まさし氏 薬物で再逮捕のニュースですが、自分が見ているテレビ、ラジオなどのニュースで、以前ほど「こういう人間はけしからん」というコメンテーターが目立たなくなったこと。 で、どういう意見になってきたかというと「何度も手を出してしまう薬物は怖い」「薬物使用者は犯罪者である以上に被害者である」といった、同情的意見が増えている。これは社会に対して正しい「依存症の報道」を訴えてきた、それこそTBSラジオ「セッション22」で荻上チキさんなどが作った「薬物報道のガイドライン」を報道各社が守る・・・まではいかないがそういう方向に動き始めている兆しでもあります。 それこそ昔はこの手の事件があるとおどろおどろしい音楽と彼らを徹底的に「意志が弱い、堕落した人間」として扱っていた。しかし、今回の田代まさし氏は都合6度目の逮捕となる。しかも、その逮捕直前まで各地で薬物経験を語る講演会を行っていたり、NHKでそういう番組に呼ばれて自分の体験を話していた、そういう方だからこそ「裏切られた」というより「なんと恐ろしいことだ」という同情ではない、共感、そして、本当の意味で啓蒙になってしまったと・・・ これは警察がやっていた「覚せい剤やめますか?それとも、人間やめますか?」のような標語よりよほどインパクトと、そして、わが身が、あるいは自分でなくとも家族や恋人、友人など近くの人間が当事者になった時を想定できる、リアルな事件だと思います。 田代まさし氏はまだ容疑者の段階で、本人は麻薬の使用を否認しています。そのため、はっきりしたことはだれも言えないはずです。 が、少なくとも昔のように「刑務所に放り込んで刑期を終えたらまた社会に何の支援もなく放り出せば、薬物はやめられる、なんてものじゃない」ことははっきりしました。 先日のセッション22で今回の逮捕を受けて特集が組まれていたのですが、支援団体の方が言ったのが「メディアで大きく報道されるほど、現在回復の努力をしている人にとても不安や動揺が走る。また、自分もそうなってしまうのではないかと」とありました。 これは例えばダイエットをしている人へ面白半分に「ダイエットなど無駄だ、ほらみろ、あの人も昔はやせたけどリバウンドした、そんな努力何もならない」とはやし立てるのと同じなんだろうなと。 今回の報道だけでなく、今後も薬物事件報道は皆が「怖いね」と思うだけでなく、「もし、自分や、自分の身の回りの人がそうだったらどうすべきか、どこに相談や連絡をすべきか、そんな回復方法があるのか」を知られる報道こそ、マスコミに与えられた公共放送の意義だと思います。 そして、田代氏を見捨て、孤立させるのでなく「もう一度頑張ろう」と何度でも迎え入れる。そういう社会の方が健全であり、回復に近い道かと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.11.09 16:30:11
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