「バグスキャン」や「ホリバー」と呼ばれるものがある。
いわゆる粘着トラップで、トラップ(trap)とは罠の意で、おびき寄せるて補殺しようというわけだ。
農薬が一番危険なのは実は我々農業者である。
農薬散布は通常は動墳という機械で霧状にした薬液を散布するのだが、結構きつい作業で数時間かかる上、例えばコナジラミ類は主に葉の裏側に寄生している(関係機関の防除指針には、「葉の裏まで丁寧に散布しましょう。」と書いてあるが、実際できるかどうかやって見せろと言ってやりたい)ので、疲労困憊して終了した直後、目の前を何事も無かったように飛翔されると、その失望落胆は筆舌に尽くしがたい程強烈だ。
コナジラミについては、「コナジラミーその生態とかしこい防ぎ方」という本があって、後日改めて紹介したいと思うが、一説によると、4世代で700万匹になるという、指数関数的繁殖力は驚異的だ。1回の産卵数は100~250匹、外では年に3~4回だが、施設内では年10回位発生するといわれ、両性生殖のほか、単為生殖もするというから厄介だ。
そこで粘着トラップの登場である。
ただ楽がしたいが本音であるが、消費者の皆さんの安全のため、なるべく農薬を使用したくないという崇高な理想と見上げた哲学が根底にあるのは言うまでもない。
ファーマータナカの施設での実際を見ていこう。
粘着トラップを貼る作業も結構大変で、体中ベタベタ、罠にかかったFLY(蝿)の気分だ。
ここで驚愕の事実が判明する。
よせばいいのに、一体どのくらい捕殺されているのだろうかという考えが頭をかすめてしまったのである。
縦48m×7本=336m、横36m×9本=324mで合計660m。
幅が10cmなので、660m×0.1m=66平方メートル。
コナジラミ類の体長体幅を計算上1mmとして、これまで何回も異常発生した経験により、びっしり重なり合うように捕殺されていることから、
1平方センチメートルには、10匹×10列×2(重なり)=200匹。
66平方メートル=660,000平方センチメートル。
200匹×660,000=132,000,000匹。やはり1億匹以上であった。
関係機関の防除指針には、「大量に発生してしまうと防除が困難になるので、密度の低い発生初期の防除を心がけましょう。」とある。
心がけだけならファーマータナカはいつでもやっている。