2009/07/21(火)10:00
単肥配合プログラム「ベストブレンド」
先日サラダ菜を栽培しているハウスに夕方の管理観察に行くと、あろうことか、大水害が発生していた。
確かにここ数日の天候は異常で、局地的な大雨や強風も観察されているが、それにしてもここまでの水浸しは只事ではない。
例によって事の真相を把握するのに、推理分析能力がサメ程しかない(ナントカ元総理と一緒だ)ファーマータナカは、不吉にも13分13秒を要したのであった。
ここM式水耕栽培施設では、ハウス内の地下に養液のタンクが埋没してあり、作物が吸収した分だけ、ボールタップ(水洗トイレの水の補給と同じ仕組みだ)で水が補給される。
そのボールタップが老朽化で破損し、補給水が垂れ流し状態で補給され続け、タンクから溢れ返っていたのであった。
この修理復旧は出入りの水道業者さん等により、何とかしのげたのだが、養液は薄まって肥料分は殆ど0となっている。
新たに肥料を配合しなくてなならないので、倉庫に行くと、必要な単肥(化学肥料で肥料の3要素の1つしか含まないものをこういう。実際は2つ含むものもある)のうちの1つの第1リン酸アンモニウム(NH4H2PO4) が在庫切れしているではないか。
付記しておくと、使用する単肥は、多量要素(N、P、K、Mg、S、Ca)として、硝酸石灰(Ca(NO3)2・4H2O)、硝酸カリウム(KNO3)、硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O)、第1リン酸アンモニウム(NH4H2PO4)、第1リン酸カリウム(KH2PO4)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)で、微量要素として、ホウ素(B2O3)、マンガン(MnO)、キレート鉄(Fe)、亜鉛(Z)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)の6種類に塩素(Cl)がある。
自然界には100以上の元素が存在するが、植物体に検出されるのは約40で、高等植物に欠くことのできないのはわずか16種類に過ぎない。
上記の他に、非鉱物元素として、酸素(O)、炭素(C)、水素(H)がある。
流石、常々適正在庫を徹底しているせいで、その在庫管理は欠品を起こす程究極まで切り詰められている。(単に発注忘れという指摘もある)
連休でもあり、週明けに発注しても数日はかかる。
ここは3大肥料要素のリン酸としては在庫のある第1リン酸カリウム(KH2PO4)で代用しておくしかない。
ここで問題がある。
日頃、肥料代の節減と称して、配合した高価な複合肥料ではなく、安価な単肥の配合をしていると偉そうに豪語しているが、実はその配合の仕方は、プラントメーカーや農業経営コンサルタントや県の機関(旧農業改良普及センター)から教えてもらった処方をただ配合しているだけで、味音痴の親父がレシピを見て慣れないイタリア料理を作っているのと同レベルだ。
試しに、配合にチャレンジしてみるが、リン酸を増やせば、カリが増え、他のカリを減らせば、硝酸態チッソが減りという具合で、あちらを立てればこちらが立たず、堂々巡りで、ファーマータナカの頭脳細胞では、計算に数百年を要する事だけは、数分で解った。
(化学物質の配合でもあり、又例えば硝酸カリウム等は消防法で厳しく規制されており、ファーマータナカにいじらせるのは銃刀法違反に匹敵するほど恐ろしいことだ)
そこで、単肥配合プログラム「ベストブレンド」の登場だ。
これは大分県農業技術センターが開発した、単肥配合支援システムだ。
表計算ソフト"Excel"を利用して行い、各単肥の量を煩雑な計算をする必要がなく算出できる、操作が容易な優れもののソフトである。
日本養液栽培研究会のHPからダウンロードできる。
早速、処方、パターン等を選択して、クリックすると、お見事、ものの数秒で出来上がるではないか。
ということで、浅学非才のファーマータナカは、こうして又してもかろうじて急場をしのいでいくのであった。