ファーマータナカの住む若林農地は、言わば陸の孤島のような場所で、他地区と比べて気象天候が全く違う事が多い。
例えば当地区は霧の発生が多いのだが、当地区を抜けると途端に晴れという事も多い。
五里霧中(五里+霧中ではなく、五里霧・・・後漢時代の中頃の張楷という人物はもともと道術を好み、「五里霧」を起こすことができたという故事に由来+中だそうだ)状態のファーマータナカにとっては、お似合いの棲家ということかもしれない。
雲海は霧と同じものだ。
キーボードをたたきながら、何となくその予感があり、カーテンを開けてみるとそこには、ミニ雲海が広がっていた。

(フルーツトマト「森のトマト姫」を栽培するハウスを覆うニミ「雲海」)
雲海の発生原理は、まず夜半、山間部などを低気圧が通過するなど湿度が高くなったとき、放射冷却によって地表面が冷え、それによって空気が冷やされていく。
ここで風の流れがない場合に、冷えた空気はその場に留まり、さらに冷却され続ける。
やがて一帯が飽和状態となり、空気中の水分が霧となって発生するというわけだ。
雲海が発生するためにの要素は次のようなものだ。
・ 放射冷却が起こりやすい晴れた天気
・ 盆地など冷気がたまる地形
・ 川など水蒸気を多量に供給するものがある
・ 春、または秋
ということで、若林農地周辺はまさしく雲海発生にピッタリの場所だったのだ。
雲海で有名な観光地と違って、ささやかな佇まいではあるが、それでもその幻想的な風情は、ファーマータナカを一時母なる自然の懐(ふところ)に抱かせるのには充分だ。
ただ、俳句の世界では、「雲海」は夏の季語とされる。
登山が夏の季語の関連から夏の季語とされているが、特に「信仰登山」の季語にちなんで夏の季語とされているようだ。
さてそろそろトマトの収穫に行く時間だ。