お金と暇がないお粗末な田舎暮らしのファーマータナカにとっても、自然そして「紅葉」は平等に訪れてくれる。
日々の雑事に追われ、幾分精神的にも余裕がなさそうな会長(=愚妻)を誘って、たまには紅葉狩りのデートにと出かけてみた。
愚妻は、毎日毎日、愛駄老犬「ひめ」だけのために生き、彼女のために散歩というよりトレッキングと言ってよいほどの山歩きをし、野菜たっぷりの低カロリーのお食事を大量に作り(ついでにファーマータナカの餌も手短に作り)、コンドロイチンを欠かさず飲ませ、毛づくろいをし、大量の抜け毛の掃除を丹念にし(たまに手早く家の掃除をし)、布団やマットやタオルをまめに洗濯しては干し(家の洗濯は洗濯機に入り切れない程まとめ洗いし)、耳の投薬治療(ここ最近ずっと耳の調子が悪いのだ)をし、添い寝をし、ついでに百足(ムカデ)とカメムシと蛇と格闘し、そして残りの時間に、農作業、加工用トマトの下処理、経理販売事務、労務管理、資金繰り、地元の加工グループへの参加、地元の自治会婦人部の役員、そして何かにつけてファーマータナカへの罵詈雑言と、超多忙な毎日を送っているのだ。
「ひめ」のためにぜひとも訪れてみたいといっていた、遊水峡。
残念ながら「ひめ」はご老体でここ数年車に長時間乗るのが辛そうなので残念ながらお留守番だ。
水の族(うから)、風の族(やから)
空の下、地の上、風の中・・・
人は1本の川になる
(「遊水峡キャンプ場」パンフレットより)
言い得て妙、「遊水峡」は熊本県阿蘇郡小国町西里にある、ちょっと穴場的スポットだった。
長さ300m、幅25mの天然ウォーターシュートで有名なキャンプ場だが、その佇まいは、季節柄かもしれないが、最近いかにも人工的な自然の見せ方が多い中、ひっそりと穏やかで素敵だった。
川の両岸には樫(かし)や欅(けやき)や櫨(はぜ)や椛(もみじ)の自然林が広がり、川底は阿蘇の強化な岩盤がたぶん1km位に渡って続いている。
子どもの頃からこの清流で遊んだというオーナーが個人的に時間をかけてこつこつと整備されたということなので、そのせいも大きいかもしれないが、すっぽりと包み込んでくれる自然の懐の広さと安らかさと静けさが味わえる。
そのオーナーのこの地への愛情愛着が、たった一言二言の押し付けでない案内の言葉から感じられ、その心遣いと施設の清潔さからかリピーターが多いといわれるのも頷ける。
で、紅葉だ。

林の中から空を見上げれば、満天の紅葉。
マイナスイオンなどという言葉なんか不要な位の、自然のそしてファーマータナカの溢れかえる愛情を愚妻は少し感じてくれただろうか?
さて、モミジだが、これがちとややこしい。
カエデ(槭、槭樹、楓)とはカエデ科、カエデ属の木の総称でモミジ(紅葉、椛)とも呼ばれるが、モミジと呼ばれる場合は様々な樹木の紅葉を総称している場合もある。
日本のカエデとして代表されるのは、イロハモミジ (A. palmatum) だそうだ。
カエデの名称の由来は、葉がカエルの手に似ていることから「カエルデ」と呼ばれ、それが転訛したものだそうだ。
一方モミジ(旧仮名遣い: もみぢ)の名は、通説として、秋口の霜や時雨の冷たさに揉み出されるようにして色づく、「揉み出るもの」の意(「揉み出づ」の転訛「もみづ」の名詞形)であるという。
紅葉が始まってから完了するまでは約1か月かかる。
又紅葉前線は10月から12月始めまでかかって日本を南下するが、ファマータナカが棲むような内陸部や山間部は一足先にやってくる。
そして山村を厳しくひっそりと包み込む冬はもうすぐそこまでやってきている。