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2009年12月19日
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カテゴリ:栽培

12月12日(土)、アグレッシュ(大分県新規就農者の会)の研修があり、今回は大分県立農業大学校校長、林浩昭氏の「植物ホルモンって何?科学と農業の親密な関係」という題でご講義をいただいた。
理論と実践を兼ね備えた先生のお話は、新しい話題も取り入れられ、又理科の授業を受けているような懐かしさもあり、貴重な時間を体験させていただいた。
先生のホームページ「はやしファーム」はこちら

そこで植物ホルモンの事に少しふれておこう。

植物ホルモンとは
「植物自らが生産する有機化合物で、通常、それらが生成される場所から、植物体内の田の場所(標的部域)に運搬され、微量で成長・分化の諸過程や諸生理機能を調節するもの」
と定義される。
現在発見されているものは、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブシシン酸、エチレン、ブラシノステロイド、ジャスモン酸、フロリゲン、ストリゴラクトン等である。

よく知られているところではエチレンがある。
エチレンは果実の「色づき」「軟化」といった成熟に関与しており、エチレンガスと温度、湿度調整によりバナナの熟成を促すのに使用されている。
実は収穫直後のバナナは糖はほとんど無く、でんぷんをたっぷり含んだ状態で、エチレンによりでんぷんが減り糖が増えるのだ。
又エチレンは葉緑素を分解する働きがあり、そのためバナナは黄色に変わるというわけだ。
バナナ自身もエチレンを生成するが、リンゴもよくエチレンガスを発生させるので、バナナの側で保管すると、バナナの成熟が早く進むとはよく言われるところだ。

さて、通常植物の受粉は昆虫や風などにより行われる。
しかし農業の現場でハウスなどの施設内での栽培をして自然な受粉がしにくい場合、特に暖房や保温をしてもハウス内が低温になり、花のめしべの中の胚珠の受精が不充分になりがちで、その結果幼果の中のホルモン量が少なくなって、茎や葉からの養分が順調に入ってこなくなり、果実の発育不良や落果が起こる。
これを防ぐために、花に植物ホルモンを吹きかけるいわゆる「ホルモン処理」が行われてきた事は以外と知られていない。
トマト等の場合、最近では送粉昆虫であるマルハナバチを用いる受粉が主流となり、ずいぶん労力が軽減された経緯はある。

このホルモン処理に使われるのが、「トマトトーン」という商品名の合成オーキシンのパラクロロフェノキシ酢酸(4-CPA)だ。

トマトトーン

ここでオーキシンについてまとめておく。
オーキシンとは植物ホルモンの一種で特定の一物質を指すのではなく、そのような作用を持つ物質の総称ということになる。
19世紀後半に、植物の成長を促進したり、屈性に関わる物質の存在が認識されており、ギリシャ語で「成長」を意味する‘auxo'と関連づけてオーキシンと命名されていた。
1937年には、インドール酢酸(IAA)がオーキシンの作用を示すことが確認され、1946年に100kgのトウモロコシから27mgのIAAが単離されたことによって、植物ホルモンであることが証明された。
植物体の若い時期や若い組織で多く作られ、細胞の成長を促進する。
光や重力などの刺激に対応するはたらきももつ。
オーキシンは茎や葉などの先端部で作られ、成長部位に運ばれて作用する(逆方向には運ばれない)。
このように、方向性の決まった移動を極性移動という。
オーキシンは、重力を受けると下に移動し、光があると反対側に移動する。
オーキシンは濃度によって作用が異なり、成長に最適な濃度は、濃い方から順に、茎(頂芽)、芽(側芽)、根となっている。

研究者たちは、植物に対してオーキシンと同様の作用を示すものを探し出し、アルファナフタレン酢酸(NAA)やパラクロロフェノキシ酢酸(4-CPA)、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)などがそれで、これらを合成オーキシンといい、本来植物が作るインドール酢酸を内生(ないせい)オーキシンと呼んでいる。

内生(=天然)オーキシン(IAA)は容易に分解し不活性化されるため、農業での応用技術は発展しなかった。
しかし、2,4-Dが初めての化学除草剤として開発されて、安定で強力なオーキシン作用は植物の生理機構を混乱させて枯死させることが判明した。
1970年代のベトナム戦争でアメリカ軍は森を枯らすため、空から2,4-Dや2,4,5-Tなどの合成オーキシン系除草剤(枯葉剤)をまいた。
これによって森の生態系が破壊されただけでなく、化学構造上、生産段階において副産物としてダイオキシンを含みやすい合成オーキシンは、薬剤中に混入していたダイオキシン類が人々に多大の被害を与えたのである。
この合成オーキシンは現在日本ではほとんど使われておらず、又オーキシンは最適な濃度でないと働かない、つまり濃度が低すぎると目に見える作用が表れないし、高すぎると逆に成長を抑制してしまうということで、上記のトマトトーンも安全な濃度を100倍に希釈して使用するので、読者の方々はご安心いただきたい。

まとめると、オーキシンの作用としては、茎・根の伸長成長、頂芽の成長、果実の肥大、発根、組織分化などの促進、側芽の成長、果実、葉の脱離などを阻害等多岐にわたり、
トマトにおけるオーキシンの役割のひとつは、子房(及び果実)の成長・成熟の促進で、花粉はオーキシンを含み、受粉後に子房を成長させる。
種子が形成された後は、種子内で合成されるオーキシンにより子房(果実)が肥大成長するということだ。
それに対して上記の理由で人為的に子房にオーキシンを与えることで、受粉・胚発生なしに果実を作らせることができ、これを単為結実又は単為結果といい、ホルモン処理で結実したトマトには結果的に種がない、いわば種なしトマトとなるのである。
(他作物のことは詳細には知らないが、種なし葡萄やスイカも同様のメカニズムで作られているはずだ)

最後に植物が生成する物質とはいえ、内生オーキシンも(天然)化学物質であることはいうまでもない。

インドール酢酸(IAA)







Last updated  2009年12月21日 06時38分56秒
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