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2010年01月15日
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カテゴリ:病害虫

トマトの重要な病害として、葉かび病というものがある。
トマト葉かび病は、初め葉表に不明瞭な淡黄緑色の病斑が現れ、やがて葉裏に灰黄色から緑褐色のビロード状のかびを生ずる。
病斑は次第に拡大して、円形あるいは葉脈に囲まれた不整形となり、かびの色も灰褐色から灰紫色に変わる。
症状が進むと葉全体がかびで覆われ、ひどい場合には葉が枯れあがるというものだ。

化学の進歩はめざましく、種苗業界においても、いわゆる抵抗性品種というものが開発されており、現在市販されている葉かび病抵抗性品種には、葉かび病抵抗性遺伝子が導入されていて、葉かび病には発病しないことになっている。

しかし最近、その抵抗性品種に葉かび病の発生が多発し問題となっている。
農家サイドとしては、「この種子は葉かび病に抵抗性があるので、病気にはかかりません。」ということで、その種子を選択栽培するのだが、それに反して葉かび病が発病するのだ。
例えば、平成22年1月7日、熊本県病害虫防除所により、平成21年度病害虫発生予察特殊報第1号で、「葉かび病抵抗性遺伝子Cf-9 を持つ品種にも発病するレース」が確認されたと報じている。

これまで24個の抵抗性遺伝子(Cf1~Cf24)が発見されているが、わが国の抵抗性品種がどの遺伝子を有するかはっきりしていない場合も多く、抵抗性品種が発病する例がみられるということだ。

実は葉かび病菌には抵抗性品種を犯す系統分化があって、それをレースと呼ぶ。
レースは、「ある植物種に病原性を持つ病原の種の中に存在する、植物品種に対する病原性が質的あるいは量的に異なる系統」と説明される。
分類学的には、種の下位の分類群にあたり、変種、品種などよりも細かい分類群のことだ。
我が国では1956-1958年に初めてのレース調査が行われて以来、これまでに8種類のレースが報告されている。
抵抗性品種に対する病原性の獲得は、それぞれの抵抗性遺伝子に対応する非病原力遺伝子の変異によるが、非病原力遺伝子の変異型は菌株によって異なっており、同一レースでも由来の異なる菌系が多数存在することが明らかとなっている。
しかも、レースの変異速度は速く、これまでの例では新規抵抗性品種の導入から2年以内に病原性レースが出現しているといわれる。
新しい種子の開発で、新レースに対応しているように見えるが、実はいたちごっこというより、そのレースの出現に追いつかないのが現状といえるだろう。

ファーマータナカから見れば、農業とは人類が自分たちだけに必要なものだけを栽培生産しようとするエゴであり、新レースの出現はそんな行為に対して、「いつまで続けるつもりなの?」という生物界からの天啓でもあり、いわば勝ち目のないレースに思えてならない。

葉かび病菌のレース

又補足になるが、1948年に岐阜県で発生を確認して以降、約50年間以上も発生が問題にされることはなかった「トマトすすかび病」の発生が問題になっている。
すすかび病の発生が問題になった原因の一つとして、葉かび病抵抗性品種の普及が大きく影響しているとも考えられている。
抵抗性品種により、葉かび病の発生が抑えられた間隙をぬって、本来発生が問題とならなかったすすかび病の発生が誘発されたのではないかということだ。

おまけに、すすかび病の病徴は、初期病斑が葉かび病の初期病斑と酷似していることや、後期の病斑は葉かび病の殺菌剤散布後の治療斑と似ているなど病斑のステージによっては肉眼で葉かび病かすすかび病かの見きわめがむずかしい。
結局農家は、葉かび病抵抗性品種を栽培しているのに、葉かび病に羅病して首を傾げ、そうかと思えば、実は葉かび病ではなく、新たな脅威であるすすかび病であるかもしれないという迷宮に引き込まれてしまうのだ。
(もちろん顕微鏡により分生子の形態を観察すれば容易にどちらかは判別できる)

すすかび病と葉かび病

(どちらが葉かび病でしょうか? 正解は右側)

いずれにしても、過酷なレースはファーマータナカがギブアップするまで続いて行くのだ。
何故なら生物界が、レースを投げ出す事も、ましてやレースに負ける事など有り得ないのだから・・・。






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Last updated  2010年01月17日 09時49分29秒
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