10月某日、一本の電話が入った。
当社の商品を取り扱っていただいている、インターネット通販会社N社の商事営業部部長のM氏からであった。
担当の女性スタッフが対応しているが、
「そう、言われましても・・・。」と言葉に詰まって、窮している様子だ。
ここは自称正義の味方でもあり、女性の見方でもある、クレーム何でもござれ処理係ファーマータナカの出番だということで、電話を変わる事にする。
1) N社の主張
「お客様から注文した商品が届かないとメールが入った。
しかも、発注は4月末で、福岡県(N社の所在地)とI県(お客様の所在地)とでは、到着するのにそんなに時間がかかるんですかと、イヤミっぽい文言も書かれている。」
「ヤマト運輸に問い合わせたが配送票(送り状)の発行記録(注1)はあるが、荷受記録がないので、荷物は受け取っていないと言っている。」
(注1)インターネット通販で、商品が産地直送の場合、荷主(N社)が荷送人(当社)に発注発送を要請すると共に、提携運送会社に送り状の発行と荷主への届けを要請する。
「インターネットで配達票No(お問い合わせ伝票番号)を打ち込んで検索しても、伝票番号未登録 と出てきて、発送されていない事がわかる。」
「お客様はリピーターでもあり、発注が5ヶ月経っての連絡は疑問が残らないわけではないが、調査してからでないと説明反論はできない。」
ということで、ストーリーは当社の発送ミス(未発送)であり、一体全体どうなっているんだ、どうしてくれるんだといった剣幕だ。
2) 当社の対応
「まず落ち着いて客観的事実関係を調査しましょう。
可能性としては、
A. 当社が発送していない。
B. ヤマトが荷受はしたが、何らかの事情で配達できていない。
C. お客様は受け取られているが、何らかの事情で失念されている。
の3つだと思うが、原因を他社やお客様のせいにする前に、3社(N社・ヤマト・当社)がそれぞれ社内で、もう一度事実関係をきちんと調べましょう。」
「ヤマトさんにも、どんな調査をしたのか、あるいはもう一度きちんと調査するよう、ファーマータナカからも連絡するので、対応した部署と対応者を教えてほしい。」
「それでも事実関係が判明しない場合は、3社で話し合ってお各様が納得いく形で代品も含めて、補償対応すべきでしょう。」
そして、その場で、及び直ちに少し調査して当社で判明した事は、
A. 発送当日の商品の発送指示書(パソコン上、ファーマータナカが作成)がある。
B. 販売日報に売上記録がある。(原則商品発送後に記録)
C. その日の収穫調製明細表の注文向調製箱数と、発送箱数が合致している。
D. N社に発送完了FAXをしており、その控えがある。
F. 残念ながら送り状の控えが存在しない。
これは当社の痛恨のミスだ。元来ファーマータナカは貧乏症で、何でもかんでも捨て
きれない性分だ。
それに比べて、会長(愚妻)や担当のS美さんは思い切りがいいというべきか、ブル
ジョアというべきか、何でもかんでもポンポンと捨ててしまわれる性分だ。
しかしビジネス上は、今回のみファーマータナカに歩があり、今後はそういった
控えは、きちんと整理保管することとする。
とはいっても、
A. 発送指示書が存在しても、準備した事とイコールにはならない。
B. 発送を見越して、販売日報を先に記入してしまう事もあり得る。
C. 収穫明細表への記入も、箱数の数え間違い・記入ミスがあり得る。
D. 発送報告FAXも、発送を見越して発送前にする事もあり得る。
F. 送り状の控えも、その存在があるからと言って、発送を100%保障しない。
ということで、当社の見解としては、100%発送を確信するものではないが、上記のA~Dのミスが個々に発生する事は有り得ても、全て一緒に発生する確率は非常に少ないと思われるので、99%発送しているという結論に達し、N社にも、ヤマトさんにもお伝えした。
3) ヤマトさんの主張
「本来全ての荷受・発送記録は3ヶ月で消去してしまうので、調べようがなく、判らない。
(その位厖大な量を預かっている)」
「今回はたまたま福岡では担当者が記録をもっていて調査したが、発送記録が無いので、荷物は受け取っていない。」
「配達記録も無いので、お客様は受け取っていない。」
「万一、荷受時に配達票のバーコードのスキャン(この情報に基づいて荷物のお問合せ・売上の発生があるらしい)ミスがあっても、ヤマト内での流通の過程で何度もチェックが入るので、どこにも痕跡がないということは、荷物は預かっていない。」
「本来荷物の配達追跡は荷主(N社)が行うべきものだ。」
ということで、日本の検察と同じで、N社もヤマトさんも最初からストーリーありき、すなわち、
「訳の判らん百姓が、調子に乗って身分不相応なインターネット通販なんぞに顔を突っ込み、杜撰な販売発送体制は棚に上げて、発送したかしないかもよく判らないまま、発送しているはずだと嘯くトンデモ野郎だ。」
ということらしい。
一方で、可能性としては、
A. 余りにも美味しそうなので、ついついヤマト内で、社員が飲んで食べた。
(商品はフルーツトマトとフルーツトマトジュースの2ヶ口だ)
B. 余りにも美味しそうなので、不在で預かったお隣の方が飲んで食べた。
C. 余りにに美味しそうなので、愚妻と担当者が発送前に飲んで食べた。
D. N社に届いたメールが間違いメールか迷惑メールだった。
E. 当社にかかったN社からのクレーム電話が間違い電話だった。
等も否定できないが、読者諸氏の推理や如何?
次回へ続く。