ストップ・ザ・悪徳商法(その1・・・ホームページ商法)
最近電話でアポをとり、様々な営業を仕掛けてくる商法が多いようだ。その中には、悪徳商法の類も結構含まれているようなので、注意を喚起する意味でもこのブログで少し触れておきたいと思う。ファーマータナカの経験でも、例えばコピー機、電子ブレーカー、ホームページ作成等の電話による勧誘を何回も経験しているし、実際に訪問されたこともある。悪徳商法だけではないが、取込詐欺や、代金未払等も含めいくつかの経験により、いろいろ勉強もさせていただいた。今回はホームページ作成詐欺を取り上げてみよう。(導入成功事例を紹介するホームページ)「ホームページで売上をアップさせませんか?」という営業電話で、「ホームページの作成はすべて当社で実施します」「検索エンジンに上位表示させます」「定期更新も責任をもって請け負います」ということで、とにかく1回訪問して説明させてほしいと強引にせまってくる。ホームページを持っていない方には売り上げUPを大げさに謳い、すでにホームページを開設している方には、無料診断や(診断のフリか)もっともらしい用語を並べたててホームページのリニューアルを勧める。ファーマータナカは「わざわざ山の中まで来てもらって、契約が成立しないとお互い時間の無駄だから、内容がわかる資料をます送付してほしい。」と訪問はスルー。これから先は実際に被害に会われた方の体験談を参考に書いていく。セールストークとしては、「無料でホームページを作成し、SEO対策で常に検索で上位に表示されるようにします。」「アクセス解析や簡単にページを更新できるソフトもついてきます。」「ドメインも取得します。YAHOOカテゴリー登録審査もパスさせます。」 「サイトの登録やSEO対策も無料でやります。」「維持管理費が、月々50,000円(資料では27,000~50,000円位)かります。」といった内容のようだ。簡単、効率的に更新できる独自システムを採用し、業界最高水準のSEO施策や検索エンジン分析ツールにより、これから先はインターネットで売上アップを一緒に図って行きましょうというわけだ。結局初期費用0円で、月々わずかな金額で最高のホームページを制作し、維持管理していきますと言葉巧みに誘導し、リース契約をうながす。「今、お申込をいただけたら、ノートパソコンを差し上げます。」パソコンをプレゼントするようなニュアンスの事を伝え、契約にこぎつけ(最近はパソコンに限らず不必要なソフトウェアや、その他OA機器もあるようだ)、リース契約書には、ノートパソコンがリース物件として記載されていたといった具合だ。契約後は最悪の場合は、ホームページさえも出来ない、担当者が退社、会社がなくなる等で、ホームページが出来ても、「簡単に更新が出来るシステムをご用意するだけで、作成や更新は貴社の作業です」「検索エンジンへの上位表示は、確実にお約束できるものではありません」等まともなフォローもないということらしい。結局5年間での支払総額は、50,000円×60ヶ月=300万円となり、実際に契約されたリース物件のパソコンの費用を差し引いたとしても、かなり高額な制作費用・メンテナンス費用を支払うこととなる。ターゲットはITリテラシーの低い中小零細企業者(まさしくファーマータナカの事だ)だそうで、電話をかけてきたアンタはその点ですこぶる正しい。問題を整理しておくと、・ そもそもホームページの制作や管理のような役務の提供は、法律上リース契約の目的物にはならない。・ リース契約は中途解約ができない。・ クーリングオフ制度は個人が対象で企業は対象外。(原則・・・本来の事業者間の契約は、対等の契約であり、一方の勝手な都合では簡単に解約できないようになっている) 契約してしまった場合、悪質業者は初めからこちらを騙すつもりで臨んできており、文句が出るのは先刻承知で、客の苦情をかわすマニュアルは既にできあがっているはずだ。適当にあしらい、そのうち客が泣き寝入りするのを待つ、あるいは反対に恫喝してくる。(顧問弁護士等もいる場合が多い・・・相手はプロだ)相手業者以上の闘争力がないととても契約解消にまで至らない。ほとんど絶望的だが、もし諦めないパワーがあるなら、手が無いわけではない。事業者間の契約は、一方の勝手な都合で無条件に解約できないのは確かだが、まず、法律では、表意者の意思決定に瑕疵がある場合、契約を取り消すことができるようになっている。つまり、大げさな営業トークや、ウソ情報で契約させた場合は、契約を撤回できるのである。この場合は、契約の「解約」ではなく、「取り消し」という法律用語となり、こちら側の勝手な都合で解約を要求しているのではなく、相手に重大な落ち度があったために取り消しにするのだということを表すためだ。また、表意者の意思と表示に不一致がある場合は、契約そのものが「無効」ということになる。契約するつもりはないのに、いつの間にか契約させられていたというケースで、この場合は契約は成立していないことになり、解約とか取り消しなどという以前の話になる。事業者としての契約であっても、個人事業者の場合、実際は家庭での個人的な利用で実質個人契約と変わらない時は、クーリングオフ制度を適用可能とする通達や判例も出始めている。ファーマータナカが指摘しておきたい点があと2点ある。ひとつはリース会社の問題。リース会社も悪質業者とわかっていて契約を結んでいると思われる。手を変え品を変えの悪質業者に乗っかるのではなく、きちんと対峙する姿勢、いわばCSR(企業の社会的責任:Corporate Social Responsibility)を問いたい。何故なら裁判では、被害者側の敗訴が多いと聞くからだ。それと実際に働いている営業マンの事だ。たぶん殆どが若い社員だと思う。彼らは、詐欺商法と解って仕事をしているのだろうか、それともある意味洗脳教育を受けているのだろうか。ファーマータナカも経験があるが、営業とは毎日毎日打ちのめされる過酷な仕事である。門前払い、ノルマ、歩合給などで、強靭な体力と精神力がないととても勤まらない。雇用情勢がますます厳しい中で、彼等も被害者だと思えてならない。夢と将来のある仕事に就ける世の中に、何とか向かえないものだろうか。