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March 27, 2008
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 マレーシア、クアラルンプールから帰国したのでF1関連の記事を書こうと思っていた矢先ショッキングなニュースが飛び込んできました。イタリア名産のチーズとしてあまりにも有名なモツァレラが汚染を理由に輸入停止に追いやられたそうです。

 水牛の乳から生産されるモツァレラは牛から作られるモツァレラよりも高価であるためイタリア経済に与える打撃は甚大でしょう。とはいえ、規定量をはるかに超えるダイオキシンが検知されてしまったのだから止むをません。
 しかし、これには伏線がありました。突発事故ではありません。マフィア絡みでごみ収集が停滞しナポリの街がゴミだらけなのは日本人の方でもご存知かと思いますが、これは何もナポリに限ったことではありません。まがりなりにも公共機関が機能しない(ゴミの散乱という部分だけでなく)イタリア国家そのものがEUのメディアの中で重病国家とか、EUの劣等生と遠慮無しに叩かれていますし、フィアットの会長にしてイタリア工業連盟の会長も務めるルカ・ディ・モンテツェモロも欧米で有力なネットワークを持つニュース・メディアでイタリアの元凶を断罪しています。

 僕のイタリア人の友人も「イタリアという国土には自信が持てるが、イタリア人やイタリアという国家には恥ずべきものがたくさんある」と言います。
 とは言え、日本も同じような現状であることを意識する必要はありますが・・・。
 ちょっと前にイタリア国内で流行った「カオス・カルモ」という映画があります。映画の中で描かれている性の描写に関してイタリアの教会が難癖をつけたことで物議を醸しました。これが興行面で延びた理由の一つではありますが、妻を亡くして途方に暮れる主人公そのものにイタリアの病巣がオーヴァーラップし、イタリアそのものを表現しているとも言われました。
 僕がヴァレンシア・テストでEU圏を回っていたころに見たイタリアの現状を告発する記事はイタリア人ではない僕にもイタリア特有の気質がもたらす功罪を良く解るように書いてありました。しかもEU圏のイタリア国外のメディアが書いた重病国家イタリアの告発記事はイタリア人ではない外国人記者が書いたものではなくミラノとローマの支局に籍を置くイタリア人によって書かれたものでした。
 見出しは「景気はどん底で政治機能は停止しているのに国民に危機感はほとんどない。本当にこの国(イタリア)はこれでいいのか?」というような内容のものだったと思います。
 80年代のイタリアはGDPでイギリスと肩を並べていて新生EC(現EU)の牽引役になることが宿命付けられていたにもかかわらずその凋落は留まることを知りません。
 ここ十数年、イタリアは不安定な連立政権を作っては崩壊することを繰り返しています。にもかかわらず政権中枢には同じような顔ぶれが出たり入ったり・・。4月の総選挙までは暫定政権が続くイタリアですが次期候補にもイタリア財界の大物として知られるシルビオ・ベルルスコーニ(右派)が名を連ねています。彼が復帰すれば3度目(?)の首相就任となりますが世論調査では対抗馬のローマ市長ワルテル・ベルトローニ(左派)の就任は可能性薄。
 しかし同じことを繰り返しかねないこのチョイスで本当に良いのかどうか?それさえも見極める力がイタリア国民から消えうせてしまっているのかも知れません。
 その証左とも言えるのが国会議員でありながら有罪判決を受けた議員の多さです。有罪ではないものの裁判沙汰になったり容疑者や被疑者のレヴェルになると100人近くにもなるそうです。どう考えてもおかしいでしょ。
 しかしながらこの状況、若干異なるとは言え、どこか今の日本に似ているような気がするのは僕だけでしょうか?

 イタリアに話を戻すと、昨年のイタリアの経済成長率は1.8%でユーロを通貨とするEU加盟国の中では最悪と言わざるを得ません。フランス経済は手堅く、相変わらず好調なドイツの輸出とは比べるべくもありません。
 イタリアを代表するお笑い芸人べッペ・グリッロが昨年9月に集会を開き政府や政治を批判したことも興味深いものです。彼は世界に向かってこう発信しています。
「イタリアを侵略してどうかイタリア国民を助けてください」と。
 ここまでくると笑えないのではないか・・・とも思いますが本当にこれがイタリアの現状だそうです。
 友人アレッサンドロも似たようなことを言ってます。冗談半分、日本に帰化したいと言っていた時期もありました。
 彼曰く、イタリア人というよりもイタリアの風土にはドルチェ・ヴィータ症候群がありこれが国家としての成長を妨げているのだそうです。イタリア人は政治経済などの社会環境を憂慮しても、家族や個人の私生活とは厳密に区分できるために家族や個人が満足できていれば国家の健全性や政治経済の問題を問わない傾向にあるというのです。解りやすく言えば重要なのはファミリーだけで政治経済などの社会環境には興味がないということです。
 この点も日本人に似ているような・・・。こういったファミリー中心の価値観が国家の一員であるという国民の良心の欠落を招き国際社会内での軋轢を生む要因であると彼は断言しています。
 さらには地方政治のみならずイタリア国政中枢までをも脅かすマフィアの影響力も無視できません。
 この2つが作用する限りイタリアは国際的な成功は難しく、政治経済の低迷からファッションなどのブランド力にも翳りが出始めたとのこと。
 フィアットの総帥ルカ・ディ・モンテツェモロが現在のイタリアをこんな風に揶揄しています。
「イタリアは図体ばかりでかく、高価で、運転が難しいポンコツ自動車でレースに臨むようなもので、誰をドライヴァーに迎えても勝ち目がない」と。
 なんだかちょっと前のフェラーリのクルマを示唆するような内容ですがそれはさておき、ユーロ圏加盟を目指しEUから課された財政条件を満たすために多大な尽力を払った彼の言葉には耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。
 しかし、僕がもっと心配なのは日本です。日本も程度問題の違いこそあれ、日銀総裁を選べないとか、4月1日から市場が混乱に陥りかねない特定財源廃止など無政府状態といっても過言ではないほど。
 日本にとってはすぐ隣(中国)にある危機だけではありません。食料の自給自足ができない日本はもっと世界に目を向けなければなりませんが、そのせいで国内への関心が低下しては意味がありません。
 このイタリアの危機は近未来の日本の危機である可能性も否定できません。

P.S.
フランス、イタリア、スペイン等ヨーロッパからのアクセスが増えているようですがこまめに記事を書くことができず申し訳ありません。
フォーミュラ関連の記事の更新をお待ちの皆様申し訳ございません。










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Last updated  March 27, 2008 04:05:19 PM
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