Fastest Lap

2008/07/29(火)15:20

スーパーGT第5戦SUGO観戦後のシリーズ展望~2~

Super GT(141)

 さて僕の前回の記事で多くの方々に指摘されている伊沢君に関して少しだけ書きましょう。  こんなことを書くと「甘い」と言われかねませんが、昨年はまだF3に乗っていた1年生ですので一つでも前にいけるならいきたいと思うのは当たり前だと思います。初優勝はどんなカテゴリーでも欲しいものですし嬉しいものですから尚のこと欲するでしょう。ですから今回の結果は極めて遺憾ではありますが伊沢君が「ルーキー」であることを踏まえれば彼の気持ちは評価したいと思います。  ただし、CASINO ROYALE7さんがおっしゃっているようにファンやサポーターの気持ちにもティームやドライヴァーは応える必要があります。人気があってナンボの仕事ですから。  彼は物凄い才能を秘めていると思います。これからどのくらい成長するのか解らないほどの可能性です。それをどう表現すれば良いか?僕なり考えましたが比喩は使わずストレートに表現します。  たとえばホンダのF1マシンとフォーミュラ・ニッポン(以降FN)のマシンとスーパーGTのNSX(以降NSX-GT)と3種類のマシンを1台ずつ用意します。これをそれぞれベストの状態で乗れるようにシート合せペダル合わせなどを施し好みの状態にセッティングしドライヴァーに乗ってもらいます。  乗ってもらうドライヴァーは伊沢君、小暮君、佐藤琢磨君の3名としましょう。1台ずつスーパーラップのように走ってラップを計測したらF1マシンでのアタックは琢磨君が圧勝しますが、それ以外のFN、NSX-GTでは琢磨君に勝ち目はないでしょう。そんな馬鹿な・・・と思っていらっしゃる方がいたら甘いです。甘すぎます。  FNもGTもF1とは明らかに違った乗り方が要求されるので琢磨君とはいえいきなり乗って小暮君や伊沢君を上回ることはありません。最低でも2~3戦程度の習熟を要します。間違いなくタイム的には小暮君や伊沢君のほうが上ですし、ベスト・タイムだけで争うのではなく全ての周回のタイムで争うなら伊沢君が小暮君を上回ることもあると思います。  ではNSX-GTでタイム・アタックではなくよーいどんでレースをしたらどうなるでしょう。残念ながら琢磨君は二人のペースにはついていけません。これもエ~~ッ!!という声が上がりそうですがF1のタイアのワーキング・テンプチャーとGTのワーキング・テンプチャーが全く異なりますし、タイア・ウォーマーが使えないGTでは琢磨君とてコース・オフ、スピン・オフしないように走るのが精一杯で小暮君と伊沢君に徐々に離される展開になるでしょう。  小暮君と伊沢君の一騎打ちになれば今はまだ小暮君に分があります。経験に由来するものです。つまりそういうことです。  伊沢君はスーパーGTやFNで戦う分には例え琢磨君相手であっても互角以上の勝負をするでしょう。しかし、レースで勝つということであったり、チェッカーまでマシンを導くというスキルにおいてはまだ発展途上でこれからのドライヴァーです。甘やかしはいけませんが、今は温かく見守ることも重要です。土屋エグゼクティヴ・アドヴァイザーがいる限りは問題ないでしょう。  何故、小暮君と琢磨君を引き合いに出したのかといえば伊沢君の成長次第ではこの2人を上回ることが十分考えられる才能を備えていると思うからです。  ですから今回の結果は伊沢君のせいというよりも各ティームにキッチリ指示しなかったホンダの問題であり、若い伊沢君をたしなめてセーヴさせることができなかったティーム側の問題であると考えられます。特にARTAは今季から童夢がメンテから手を引き昨年のような堅実さに翳りが見えます。僕は伊沢君の血気盛んさよりもどちらかと言えばきっちり機能していないように見受けられるチャンピオン・ティームであったり、それを上手く機能させなければならないはずの首脳陣の采配内容のほうが心配です。  その証拠に優秀なエンジニアやメカニックたちが戻ってきた童夢は今季取りこぼしが少なくなっています。僕から見た印象ではつまりそういうことなのではないかと感じています。  1000kmを含めて残り4戦。有効ポイント制を踏まえてももう取りこぼしは許されませんので1000kmはタイトルを占う上で重要なポイント・オブ・ノー・リターンとなるでしょう。  伊沢君、昨年デヴュウを果たした1000kmで今度こそつかめ初勝利。  皆さん、しばらくは伊沢君を見守ってあげて下さい。ローマは一日にして成らずです。

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