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カテゴリ:Formula 1
この連載も今回で終了しようと思います。
さて、日本の自動車業界に影を落としかねないトヨタのF1撤退。この余波が今年すぐに国内で絶大な支持を受けるスーパーGTの興業に及ぶ可能性は極めて少ないと思われますが安穏としていられるワケではないでしょう。 世界的にトヨタ全体の売上高が落ち続けることがあればスーパーGTへの継続参戦、FNへのパワーユニット供給にも影響を与える可能性が出てきます。もし、開発コストのかかるスーパーGTからトヨタが撤退などということになれば3メーカーのワークスが走らないGT500の人気はオペルが撤退したDTMのように一気に下降。そうなれば必然的に観客動員を大きく左右し、割り込む可能性も出てきます。 今年になってからスーパーGTにドイツのDTMから打診されたコンポーネンツ共有案などもこの不景気の中、興行として一気に暗転しかねない危険性をはらんでいることを見据えての提案であることは否定できません。 オペル撤退後のDTMもアウディとメルセデスのガチンコ一騎打ちで常に迫力のあるレースが展開されています。しかし3社がしのぎを削っていた時のエキサイティングさは半減してしまいました。言い方を変えれば2メーカーだけの単調なガチンコバトルでアウディかメルセデスのいずれかの陣営からしか勝者が生まれないのですからかつての盛り上がりは期待できないのも必然でしょう。 そこでスーパーGTが大成功している日本に白羽の矢が立ったことは容易に想像がつきますが、日本もトヨタの業績如何では今後どのように進展するのか予断を許しません。 トヨタ全体の売上高が今後も簡単に落ち込んでいくとは考えにくいのですが、楽観視はできないという意味です。 トヨタの後退で猛攻を仕掛けるVWはやはりトヨタ同様コンパクト・カーを得意とする巨大自動車メーカーです。グループ企業のアウディにDTMを任せているので余剰な予算をつぎ込まねばならない金食い虫のマーケティングはほとんどありません。強いて言えばベントレーやブガッティなど世界最速スポーツを生み出す少量生産の自動車ファクトリーの経営ぐらいのもの。昨今、ポルシェまでをも飲み込んだその企業力や資金力は侮れません。 いくら富裕層ビジネスが絶好調でメルセデスが飛ぶように売れても世界的規模で見ればメルセデスの売上高はVWのそれには遠く及びません。 スーパーGTに話を戻すと今年、2010年はコストカットの断行によってオートポリスで開催されていた九州ラウンドを無期限で中止しました。無期限中止は景気如何ではすぐに再開もあるし、このまま中止が続く可能性もある微妙なラインです。 こういった規模縮小ムードの中で、トヨタの売り上げが毎年毎年減少傾向になればレース業界がデフレスパイラルに陥ることは必至。 新コンコルド協定を簡単に反故にしたトヨタですからそこまで悪化したときにFNのエンジン供給停止やF3エンジンの開発凍結までコストカットを進める可能性がないとは言い切れないでしょう。 そのときはトヨタだけでなく、ホンダもニッサンも厳しい状況に追い込まれている可能性があります。 そうなると日本のトップ・フォーミュラが以前のMUGENエンジン・ワンメイクの時代と同じような1社だけのコンペティションに逆行してしまうことも考えられ、興行としてはぎりぎりの収益状態のFNにとっては致命傷になりかねません。 ここまで視野を広げるとトヨタF1の撤退は単なるF1の撤退でとどまるか否か?という危険性さえはらんでいます。 トヨタのF1撤退はスーパーGTにとっても対岸の火事ではすまされない微妙な領域に引火したことを意味しています。 あとは小林可夢偉や中嶋一貴などのドライヴァーたちがメーカーに代わって日本のモータースポーツ界を牽引していくしか残された道はありません。 技術力だけはリードしていた日本の自動車メーカーが瀕している危機。これも以前から僕はこのブログで警鐘を鳴らしてきました。 日本の技術力が危ない。学生の理系離れが加速しているなど等。 ついに日本の自動車メーカーが世界のトップから引きずりおろされる時代を迎えようとしているのかもしれません。 しかし、トヨタにせよホンダにせよ世界で上位にランクされる自動車メーカーとして大金を投資してきた啓蒙活動のひとつがドライヴァー育成プログラム。 「日本人ドライヴァーが日本のコンストラクターにコンストラクターズ・タイトルをもたらす・・・」 中嶋悟氏の時代から常に夢見られていた日本人モータースポーツ・ファンの強い願い。そして祈り・・・。 「そういう存在がいないのなら自分たちで育てればいい・・・」 こうしてスタートしたTDPも頂点にF1があったからこそ意義がありました。TDPでは新しい才能がたくさん芽吹き、日本の技術力ではなくドライヴァーが観客を沸かせる時代の到来を予感させてくれました。 新しい世代の若武者たちは今までの世代のドライヴァーとは根本的に違っています。これに関してはまた長くなってしまうので今回は軽く触れておくに留めますが、体躯もさることながら、脳構造そのものも、ドライヴィング・センスも、何もかもが従来の標準的なレーシング・ドライヴァーとはまったく違っています。 「CALTY 007」さんのコメントにもありましたが、ドライヴァーの才能や走りの本質を見ている人は見ています。しかしながら、やはり日本人のレース関係者は未だドライヴァーが持っているセンスを見極める目、見抜く目に遅れています。見極めていても活躍させるフィールドを用意して上げられない場合もあるほど。 そんな彼らが本当に伸び伸びと成長できるフィールドを用意できたらもっと日本人ドライヴァーは勝てるのに・・・と思わずにはいられません。 今の世代のドライヴァーたちの集中力を一気に高めるセンスや能力などは特筆すべき点です。 中でも可夢偉は名刀と呼ぶに相応しい切れ味を持ったドライヴァーです。その名刀を自ら放棄してしまうトヨタとはいったいどういう企業なのか?おそらく理解に苦しむ方が多いと思いますがこれこそがトヨタであり、BIG3を撃墜しトップに君臨した世界に冠たる日本企業なのです。 そして僕も、これを読んでいる皆さんもほとんどが日本人だと思います。 これを読んでいる皆さんがトヨタ撤退に際して何を思い、考えたか僕には解りませんが、一言で言うなら憂いでしょうか。 でも勘違いしないで下さい。撤退を残念だと思う憂いだけではありません。 「やっぱり撤退か・・・」と思うと同時に日本人として日本企業のエゴを垣間見るにあたり恥ずかしさがこみ上げてきました。 それがすべてと言っても過言ではありません。 欧米だけでなく、いまや日本でもコントラクトは何よりも重要です。トヨタは間違いなく新コンコルド協定にサインしたはずではなかったのでしょうか? そしてそれは紛れもなく、2010年を含めて向こう3年間、2012年までF1に参戦しつづける義務を負い、F1の発展、モータースポーツの隆盛に寄与し、それらに携わる若手の育成義務も果たすべき責任を負う契約であったはずです。 日本人はいつから約束を簡単に反故にする民族になりさがったのでしょうか? トヨタ撤退の第一報を受けて最初に感じたことはそのことでした。それを憂慮すればするほど可夢偉が気の毒に思えてなりません。 いいえ可夢偉だけの問題ではありません。 今まで日本にはピラミッドの頂点にF1がありました。それが我々日本人のささやかな誇りでしたがそれも失いました。 可夢偉は間違いなくセンターポールに日の丸を揚げることができる能力を秘めたドライヴァーです。 才能というあいまいな尺度だけで言うならルイス・ハミルトンやセバスチャン・ヴェッテルにもひけをとりません。自分のマシンには足りない部分をカヴァーしながらバトルするスキルはいやらしいほどの老練な狡猾ささえ魅せるときまであります。 もっと具体的にいえば今季チャンピオンを獲得したジェンソンよりも可夢偉のほうが素質や才能ははるかに上です。 マカオの第1ヒートをブッチギリで制したときの切れ味は今も健在。 可夢偉の双肩に日本モータースポーツ界の隆盛は委ねられているといっても過言ではありません。 P.S. 発表されたHSV-010GTに関する質問に関しましては、まだ僕も実車を見ていないのでなんともいえませんが競争力は高そうです。 DTMから打診されたコンポーネンツ共有化案なども時間があれば取り上げていこうと考えておりますが実際に検証できる時間があるかどうかは微妙ですのであまり期待しないようお願いいたします。(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 18, 2010 03:25:11 AM
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