お父さんから子供たちへ

2023/07/10(月)00:10

ジャージの思い出①

思い出(小学生時代)(30)

 お父さんが小学校4年生ぐらいのころから、スポーツメーカーのロゴ入りのTシャツ、短パン、ジャージなどが子供達の間で流行り始めた。キャプテン翼というサッカーマンガ&アニメが流行ったのが原因だと思う。そのアニメの中で、アディダス、プーマ、アシックスなどのいわゆるスポーツメーカーのキャップやシューズが描かれていたからだ。  親が子供のおねだりを許す家の子は、全身をスポーツブランドで固めていた。当時お父さんたちは、スポーツメーカーのグッズを「メーカー品」と呼んであこがれていた。親から新しいメーカー品を買ってもらうと、学校で自慢するというのが流行りだった。  ここからは我が家の話であるが、お父さんの両親は子供に流行りものを買い与えることを決してしなかった。欲しがれば欲しがるほどかたくなに買ってくれなかった。まあ裕福だったわけでもないので仕方がないとは思う。それでもクラスでメーカー品のジャージを持っていないのは5年生になるころにはほとんどいない状態になっていた。  しかしながら、お父さんにもようやくチャンスが訪れた。小学校5年生の秋に、体が成長し前年のジャージが着られないとなったので、母親が新しいジャージを買ってくれると言ってくれたのだ。 そこで必死でお願いをして、新しいジャージにメーカー品を買ってもらえることになった。うれしくてうれしくて友達にも自慢して、ようやくお父さんもみんなの仲間入りができると喜んだ。  どのメーカーが良いかと聞かれたので、アシックスを指定して、色は何でもいいからとにかくアシックスのジャージを買ってきてくれと頼んだ。母親も了解してくれていたので、買いに行くという日は、朝から間違いなくアシックスを買ってきてもらうように念押しをして、その日は学校から走って帰ったことを覚えている。  家について、母親に新しく買ったジャージをもらった。メーカー品であれば何でもいいと思っていたので、新しいジャージのアシックスのロゴを必死で探した。ところがどんなに探しても、どこにもアシックスのロゴは見当たらなかった。そこでようやくこのジャージはアシックスではないと気が付いた。 母親に、アシックスでないジャージを間違えて買ってきているから、交換してきてくれと頼んだら、母親から衝撃の一言が返ってきた。「アシックスのジャージを買う約束などしていない」と。  大人になった今ならば理解ができる。母親は一応アシックスのジャージを手には取ったのだと思う。しかしながら値段をみてビビったのだ。そして安いジャージを探し、子供のおねだりなど押さえつけられると考えて、無メーカーの安いジャージを購入することに決めたのだ。いまだに母親はそんなことは無かったとか、ほしいと言われるモノを買い与えてきたと言っているが、記憶に残らないぐらいどうでもいいことだったのだろうと思う。  お父さんは泣きわめいて抗議した。友達にも買ってもらえると言ってあるし、約束したのに違うモノを買ってくるなんてひどすぎると。だが小学生の講義など所詮は無力である。結局母親の逆ギレで、お父さんにはその無メーカーの紫ともグレートも言えない怪しい色のジャージを着るしかなかった。 友達にも散々言われたが、耐えるしかなかった。お父さんが勉強も運動もトップクラスで(書いていて恥ずかしい)、クラス委員などもこなす優等生だったからこそいじめまで行かなかったが、普通のクラスメイトならからかわれていじめられた可能性がかなり高い出来事だった。

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