お父さんから子供たちへ

2024/09/07(土)00:10

尊敬できない先輩たち

思い出(社会人・海外)(1066)

 お父さんは今51歳である。人生も51年目ともなると、周囲に年上よりも年下の方が増えてくる。人口をきちんと調べれば、上には団塊の世代を含めた多くの人がまだまだいるのだが、70歳を越えた人となると仕事ではほとんど会わないし、身内などのごく少数としか接する機会がない。 会社でも完全に年配のラインを越えてしまったし、家族で一番年上なのはお父さんである。日々話をするような人はほとんどが年下で、現場のベテラン作業者ぐらいしか年上がいなくなってしまった。  お父さんが若い頃というか40歳になるまでは、年上の先輩というのは「みんな仕事ができる」「頼りになる」というイメージの方が強かった。もちろん例外となるような、仕事はできないし、文句ばかり言っているというような尊敬できない先輩もいたが、総じて年上の人達の評価は「尊敬できる人達」だった。  しかしながらお父さんももはや51歳となり、先輩の数も少なくなってしまったし、先輩とも年が近くなっている。定年間近の65歳の人でも一回り強しか離れていない。「大先輩」というイメージよりも、やや年上の同僚という感覚が強いかもしれない。 それでも先輩は先輩であり、現場仕事を続けている人は一定の職人的技や知恵を持っているので尊敬はしているつもりである。技術面で尊敬できない先輩というのはあまりいない。  ところが、性格とか行動とか精神的な面で見ると、最近では「お父さんより年上なんだから、もう少ししっかりしてくれよ」と思う人たちが増えてきている。これは歳の差が縮まったからだけではないとお父さんは思っている。 子供の頃、絶対的存在だった両親が、成長するにつれて「自分の親はこんな人だったのか」とダメな部分が見えてきてしまうのと同じように、会社の中でも地域社会の中でも自分が経験を積み成長してしまったことで、無条件で「すごい」と先輩たちを評価できなくなったからだと思う。  今では年上の部下もいる状態になっていて、年上の部下にはお父さんより優れた部分をかなり期待するのだが、精神年齢が低いと思ってしまうような事件がこのところ続いていて困っている。  先日は、仕事の打ち合わせで「口の利き方が悪い」とかの理由で年上の部下同士がけんかしたり、仕事がうまくいかないからと「もうこんな仕事辞める」と騒ぐ人がいたりと本当に疲れてしまう。 お父さんの理想は、上司としてのお父さんを年上の先輩が部下でありながらたしなめたり励ましたりしてくれる関係なのだが、そんなのは小説の中にしかないのかもしれない。もちろん尊敬できる先輩は、会社に何人か存在するのだが「絶対的」ではなくなってしまっている。  お父さんは若い頃、正論を吐いて「自分は正しい」と現実離れした理想論で周囲に迷惑をかけていた。そのころは「自分が正しい」と思っているのだから迷惑をかけているとも思わなかったが、今思い返せば、実にバカだったと恥ずかしくなる。その時に先輩や上司からたしなめられた言葉を、今はお父さんが年下の部下に言うことがあるのでよくわかる。 だが、そのようなたしなめる言葉を年上の部下に言う時ほど寂しいモノはない。「どうしてそんなにガキのような考えや態度なんだ!!」と怒鳴りたくなる時がたまにある。  自分が今は部下や年下から年上の先輩もしくは上司として評価される立場になっていることは理解している。聖人君子ではないので悪いところもいっぱいあると思うが、せめてある部分では尊敬でいる先輩として評価してもらえるよう頑張ろうと思う。

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