ホテル物語

2008/12/21(日)20:20

軽い心は、どこですか?

 昔、飯田橋の駅の近く、神楽坂の入り口付近に、「軽い心」という喫茶店があった。喫茶店と呼ぶのがふさわしいのかどうか判らないが、妙にだだっぴろい、クラブか何かを改装したような、ソファー席の、大きな喫茶店だった。学生たちは、そこで、勉強をしたり、サークルやゼミの打ち合わせをしたりと、さまざまな目的で利用していた。 先月だっただろうか、夫にとっても懐かしい場所である神楽坂界隈を、ぶらぶらしてきた。昔とはうって変わって、今は、すっかり賑やかなお洒落な街になっている。昔よく行った「軽い心」のあたりも、勿論今はすっかり変わってしまっているのだが、なんとなく面影の残るビルがあった。近くの和菓子屋で、「昔、軽い心があったのは、この辺でしょうか?」と訊いたが、「軽い心ですか?知らないです。 でも、軽い心って、洒落たネーミングですねえ。」と、30代か40代の店員さんが言った。知ってるはずないよね。 むかしむかしのお店だもん。それにしても、確かに、「軽い心」という名前、 今思うと、なかなか洒落た名前である。 その「軽い心」にも昔よく行った、古くからの親しい友人が、最近うつ病になった。外交的で、お気楽で、しゃべりだしたら止まらない、几帳面とは程遠い性格で、およそうつとは対極にあるような、うつとは縁がないような友人である。 30年も前の話だが、私は、彼女を、駅で最高2時間半も待ったことがある。今みたいに携帯電話があれば、そんなことはありえない話なのだが・・・2時間半も遅刻して、来るほうも来るほうだが、待つほうも待つほうである。私も彼女も時間を厳守したことなどなく、いつでも、なんでも、いい加減で・・・他の人とはいざ知らず、少なくとも私と彼女との間では、いつでもそんな感じであった。 そんな彼女が、最初に、「私、うつになった。」と言った時、私は、「ウッソ~! そんなことあるわけないじゃないの!貴方がうつになるなんてありえない!」と、医者の診たて違いを疑わなかったのだが、実際に、医者から「うつ」と診断され、薬を飲むようになって症状が消滅したと聴いて、あらためて、うつは誰でも罹りうる、きわめて身近な病気であることを認識したのである。 彼女の、初期症状は、指先の痺れと、走ろうとすると足がもつれるというものだったそうだ。近くのホームドクターに診てもらったら、神経内科での診察を勧められ、うつの初期と診断されたとのこと。自分では、脳の病気を疑いこそすれ、まさかうつとは、想像もしていなかったらしい。意外な初期症状である。今やうつ病は「心の風邪」とか「国民病」とか言われるほどに一般的になって、誰もが罹りやすいこころの病気ということが、広く知られてきたが、一口にうつと言っても、タイプも症状もさまざまなようだ。 誰がうつになってもおかしくないストレス社会。誰だってうつになっちゃいそうな今年の年末。気力やエネルギーが、発散できない閉塞感。日々積もり積もって重たくなる心の荷物。降ろしたり、捨てたりして、軽い心になれればいいのだけれど、なかなか軽くはなれない現実。 連日暗いニュースばかりである。 あの、世界のトヨタが、ソニーが、キャノンが・・・新聞によると、ここ常総市にある大手の工場でも、大幅な人員削減だとか・・・100年に一度の“未曾有”の大不況だそうだ。これからは、すべてがもっと厳しくなっていくのかもしれない。でも、きっと私たちは、この危機を乗り越えていくだろう。きっと乗り越えられる英知があるに違いない。何の根拠もないのだが、何故か、そう思える。 いや、そう思いたい。 いえ~い  これからは、英知をかき集めて総力戦だあ はて、さて、どうしてくれようぞ   

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