『希望』
「佐野元春のCDでどれが一番好きか?」と、問われても、答えに困る。好きなアルバムは全部だし、そのときそのときの自分の心のありように左右される。だけど。「佐野元春のCDでどれが一番心地良いか?」と、問われたら、「THE SUN」だと答える。2004年発売から7年を経過するにも関わらず、実にコンスタントに聴き続けている。「SWEET16」や「COYOTE」などは発売当初から聴きまくったけれど、3年も経過してしまうと、常に聴くCDではなくなっている、「飽きた」というわけでもないのだけれど、「まぁ、聴かなくてもいいかな」という心境にはなっている。だけど「THE SUN」は、フッとしたときに聴き入ってしまっている。このCDには「癒し」の効果がある。「癒し」という表現は昨今常套句になっているけれども。中でも『希望』は、多くの80年代に元春を聴いて育った多くの男性が送る日常をスケッチブックに描き出したような印象。「今夜も愛を探して」いた男。「街へ出ようぜ」とシャウトしていた男。そんな男が「中古の家を手に入れて」「墓参りの準備のために街へ立ち寄る」そんな自分自身をありふれた男と名乗る、ここに自嘲のニュアンスは皆無。何も変わらないものをそっと抱きしめて愛しい場所の向こうに希望を見つけ。夢の続きから始めようと正しい理由の向こうに自由を見つける。全ての人(Everybody)に特別である必要はない。誰か(Somebody)に特別であればそれで充分。今、そんな風に私の鼓膜には響いてくる。