2012/05/29(火)22:51
『トスカーナの贋作』'10・仏・伊
あらすじ
イタリア、南トスカーナ地方の小さな村で講演を終えたばかりの
イギリスの作家が、ギャラリーを経営しているフランス人女性と
ドライブに出掛け・・・。
解説
『隠された記憶』のジュリエット・ビノシュが
カンヌ国際映画祭
女優賞受賞
『友だちのうちはどこ?』、『桜桃の味』等で知られる
イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督は、素人を
好んで起用しますが、この作品でもビノシュの脇には
イギリスのオペラ歌手ウィリアム・シメル
『存在の耐えられない軽さ』の脚本家
ジャン=クロード・カリエール、この映画や
『息子の部屋』のプロデューサー
アンジェロ・バルバガッロが出演しているが、演出が巧いせいか
いずれも俳優顔負けの名演をしている
原題は『Copie conforme(認証された偽物)』で
何が本物で、何が偽物なのか、見る者を
惑わせる映画となっている
共演は『ふたりのトスカーナ』のジャンナ・ジャンケッティ
『明日へのチケット』のフィリッポ・トロジャーノ。
撮影は『家の鍵』のルカ・ビガッツィ。
ネタバレ感想
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「死ぬからって何?」
哲学者や作家が言えば感心するが、子供だと耳を貸さず
糸杉は美術館にないから、誰も価値に気付かない
人は見方によって、価値を大きく変化させる。
目の前の女性と言い争っているように見えた男が
実は電話していただけだったように、見方によって
解釈が変わってくる作品で、正解は無いとは思うけど
自分の解釈は、2人は(元?)夫婦だと思った。
あれだけ上手く夫婦の振りをするのは、俳優でもない
赤の他人には無理だと思うし、親しくも無い男女が
夫婦を演じる行為自体が不自然やし、最初の方は
夫婦が余所余所しく接してただけって考えた方が
辻褄が合ってる。
本の内容が理解できないのに、作家のファンで
なのに喧嘩ごしの女に、ずっと違和感があったので
夫婦だと思ったら、納得できたし。
嫌いな本とも言ってたし、ファンには思えんかった(^_^;
ファンの間では有名な事って可能性もあるけれど
ジェームズが1日おきにしか髭を剃らない事を
女は知っていたし、コーヒー冷めると言った女主人に
そういう人と答えた女の口調は、長年連れ添って
知り尽くしてる相手に向けた感じだったし。
ジェームズの事を、いい旦那と言われた時の女の表情は
好きな人と夫婦に間違われて嬉しいという感じではなく
全然いい旦那じゃないと言いたそうな顔に見えた(^_^;
カフェの女主人に女が言ったのとは違い、ジェームズは
フランス語も堪能で、イタリア語も少し出来るのも
2人が夫婦というのが、最も自然な解釈だと思う。
ジェームズが英語で喋るのは、ただでさえ女相手に
言い負かすのは難しいのに、不得手なフランス語だと
勝負にならないと考えたんやろな(笑)
冒頭の講演で、上の部屋にいたのに遅刻したのは
夫婦喧嘩のせいで、女が遅れて始まった講演に
遅れて現れたのは、喧嘩の相手だったと考えれば
全てに説明がつく。
あの親子の為に、翻訳家が座る最前列の席が
用意されてたのも、作家と親しい関係じゃないと
説明がつかないし。
息子のサインの名字をふせたのは、作家に気があって
子持ちだと知られたくないせいかと思ったら、特に
子持ちというのを隠す風でもなかったし、ジェームズが
父親だから、息子相手にフルネームのサインを
書くってのは変だからか。
「僕には僕の言語と生活」
子供を押し付け、自分の為に生き、文句ばかりの夫。
常にイライラして、自分の意見を無理に押し付ける妻。
どっちも、好感が持てん(笑)
ウォーホールだって訂正しても、頑なに間違いを認めず
ジャスパー・ジョーンズと言い張り、自分が不幸だから
嫉妬して、幸せな妹夫婦を馬鹿にして、やな女やな(^_^;
記念日に寝てた事を咎められ、居眠り運転をした妻を
息子を愛してないのかと問い詰め、ウトウトしただけと
答えた妻に対し、自分も悪くないとガキっぽい言い逃れを
した夫も、同じ男でも応援する気になれんかった(笑)
「存在してる事も謝る」って、ほんま大人げない(^_^;
全て解決すると助言され、夫が肩を抱き歩くと
妻は笑顔を取り戻し、口紅とイヤリングでお洒落して
戻ってくると、酷い店だったので夫は機嫌を損ね
より険悪なムードになってしまう(^_^;
あの観光客は、変な店を薦めやがって(笑)
達人によれば、理想を追い求めるのは馬鹿なのに
妻は新婚のような頃のまま、永遠に続く事を望み
冬枯れの庭が美しくないなんて言えないと
イランの詩を持ち出し、変わってしまうのは
仕方ないと言い切る夫、2人の考えは交わらない。
「ジェジェジェジェームズ」
パパパパパフィー(笑)
窓の外で鐘が鳴るのを映し、フランス映画らしく
モヤモヤした感じで終了(笑)
楽観的に観るか、悲観的に観るか、見方によって
8時の鐘を聞き、帰ってしまったのか、それとも
残ったのか、どちらとも考えられるよな。
あの新婚の時の部屋は、いつもバラバラなのに
ダビデ像の側に珍しく母子が一緒にいたのを見た
部屋と同じって事?
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