2019/05/06(月)07:00
【心を磨き高めるには】
【心を磨き高めるには】
★稲盛和夫氏の言葉から―
◎心を磨き、高めることが問われているのはリーダーだけではありません。
能力のみならず、人格があり、賢く、正しい人間をめざすべきであるのは、
どんな人でも変わりはありません。
それは生きる目的、人生の意義そのものであるといってもいい。
私たちの人生とは、私たちの人間性を高めるためのプロセスにほかならない
からです。
それでは、心を高めるということは、いったいどういうことなのでしょうか。
それは、けっして悟りの境地、いわば至高の善的境地に達するなどという、
むずかしい話ではなく、生まれたときよりも少しでも美しい心になって死ん
でいくことではないかと思います。
この心を磨く指針として、私は自らの経験から次のような「六つの精進」が
大切ではないかと思い、まわりの人たちに説いてきました。
1、だれにも負けない努力をする。
人よりも多く研鑽する。またそれをひたむきに継続する。不平不満をいうひ
まがあったら、一センチでも前へ進み、向上するように努める。
2、謙虚にして驕らず
「謙は益を受く」という中国古典の一節のとおり、謙虚な心が幸福を呼び、
魂を浄化させることにもつながっていく。
3、反省ある日々を送る
日々の自分の行動や心のありようを点検して、自分のことだけを考えていな
いか、卑怯な振る舞いはないかなど、自省自戒して、改めるよう努める。
4、生きていることに感謝する
生きているだけで幸せだと考え、どんな小さなことにも感謝する心を育てる。
5、善行、利他行を積む
「積善の家に余慶あり」。善を行い、他を利する、思いやりのある言動を心が
ける。そのような善行を積んだ人にはよい報いがある。
6、感性的な悩みをいしない
いつまでも不平をいったり、してもしかたのない心配にとらわれたり、くよ
くよと悩んでいてはいけない。そのためにも、後悔をしないくらい、全身全
霊を傾けて取り組むことが大切である。
これらを私は「六つの精進」としてつねに自分にいい聞かせ、実践するよう
心がけています。
文字にしてしまえば平凡すぎるほどの、このような当たり前の心がけを日々
の暮らしに溶かし込むように、少しずつでいいから堅実に実践していくこと。
大切な教訓を額縁に入れて飾るばかりでなく、やはりふだんの生活のうちに
実行していくことが肝要なのです。
(参考文献:稲盛和夫著 「生き方」 サンマーク出版)
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*昭和7年、鹿児島で生まれた稲盛氏は中学受験に失敗している。
その後、肺浸潤という病気になってしまった。
元気をなくした稲盛少年に近くに住む人が心配して、心の持ち方に関する
書籍を読むようにすすめてくれた。
心の持ち方次第で人生が変わるのかという希望が湧き、体は回復した。
再度、中学受験に挑戦するがこれも不合格となった。
その後、別の中学に入学しそれから高校、鹿児島大学に進学しセラミック
と出会うことなる。
社会人となり、京セラを立ち上げるまでは苦難続きだったが、それも乗り越
えてきた。
「六つの精進」はたしかに、平凡で、あたりまえのことだ。
平凡で、あたりまえのことを、コツコツと続けていくこと。
心が磨かれ、高まるには、これが最良の道である。