2022/05/24(火)07:00
【知恩の心】
【知恩の心】
今は、地球の裏側でどんなことが起きているか、瞬時に知ることができます。
世界中の人々のいろんな発言を聞くことができ、映像も見ることができます。
このシステムの便利さのおかげで、人と人との距離が近くなりました。
ただ、親しくないのに近くなることで、いろんなトラブルが起きていること
も事実です。
とくに低年齢の人が、ウソの情報にあやつられてしまうケースもあります。
また、必要以上のコミュニケーションを求められたり、求めてしまうことで
本来の人との関係を保つことに悩みが生じることもあります。
「メールしたけど返事が来ない」「ラインしたけど無視された」などから、
送り手と受け手がそれぞれ、想像しなくていいことを考えてしまうのです。
禅語に「莫妄想」(まくもうぞう)という言葉があります。
「妄想してはいけません」ということですが、人はなぜか妄想しやすいところ
があり、その心を戒める意味で使われています。
妄想とは、ありもしないことをあれこれ考え続けることです。
また、仏教でいう妄想というのは、自分の心を縛りつける、執着する、曇らせ
ることを指します。
言葉を変えれば、物事をネガティブに考え過ぎる、ということです。
嫉妬する、自分を責めるなどの感情なども妄想です。
この妄想する心のせいで、せっかくそれまでよかった人間関係がこじれてしま
うことがよくあります。
つまり、「自分」という人間と、「相手」という人との間にある、妄想が不快な
心の状態にしてしまうのです。
もし、その相手と元のように仲のいい関係に戻したいと悩んでいる人に、一つ
の方法があります。
それは、相手のいいところを見ることです。
つまり相手が自分にしてくれた嬉しかったとことを、もう一度見直してみる
のです。相手への視点を変えるということです。
実際は、自分がイヤなことをされたことで頭がいっぱいかもしれませんが、
それはいったん、棚上げしておきます。
とりあえず、メモに相手の長所を最低10個ぐらい書いてみましょう。
じっくりと、相手への視点を変えていくと、相手から受けた自分への気づかい
のありがたさや、恵まれていたことに気づいたりします。
これを仏教では、「知恩」といいます。
相手の自分に対する気持ちに感謝することが知恩の心です。
まず、自分が相手に「知恩の心」が湧いてきたら、少しずつ相手に接するとき
の態度を変えていくようにしましょう。
相手への妄想は相手への視点を、よい視点に変えることで改善されます。
また、自分自身への妄想も同じことです。
自分の欠点ばかり見ないで、自分のいいところを見直していくと、気持ちの奥
に変化が生まれてきます。
(by ハートリンクス)