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その客は4月中旬に来た。
いかにも女性にもてなさそうな見た目にむさくるしい42歳の独身男。 話しもかみ合わず、愛想も悪く、何しろ汚なっぽい。 疲れているのか何だか弱々しい。 こちらのテンションも全然上がらないのだ。 客はうつむきがちに、たまに歯の浮くような褒め言葉をささやくが プレイはいたって普通の人だった。 終わったあと、小さな声でぼそぼそと語りかけてくる。 「あのさ・・・お金払うからデートしてくれない?」 こんな男のセックスフレンドにならなきゃならないのか? 「お金払うって・・・私を買うって意味でしょうか!?」 不愉快だが、堪えつつ聞く。 「いや・・・そりゃあそういうこともしたいけど、とりあえずデートだよ。 ほら・・・僕と普通にデートなんて嫌でしょ?お金が介入してもいいから お酒飲むとか、食事するとか・・・まあそんな感じで」 この仕事をしていろんな人と出合ったが、普通のデートでお金を 払うからなどと言う人を初めて見た。 もう一度その客を見る・・・確かに見返りも無しにデートに応じるほど あたちはお人好しではないと強く感じてしまった。 「例えば・・・どういうお考えなんですか?」 客は考えながらポツポツ話す。 「もちろん飲食代とか出さなきゃならないだろうし、セックスするわけじゃない のだから、一回一万円でどう?」 お酒をご馳走になって一万円か・・辛いだろうが悪い話ではない気がした。 相手は所詮サラリーマンだ。 その辺で手を打つリアクションを見せた。 と、言っても、相手も口だけかもしれない。 あたちもノリノリではないし、携帯のアドレスだけを交換した。 その人からメールが来たのはゴールデンウィークも残り2~3日という 時だった。 「ゴールデンウィークは何をしてますか?」 ゴールデンウィークはあたちはもちろん仕事だけどこう返した。 「予定では出勤ですが、前もって言ってくだされば予定を空けますよ」 ところが返信が来なかった。まあ、こんなもんだ。 期待もしていないし、あっという間にその人の事は忘れてしまったのだ。 6月1日、その人からアドレスを変えたとだけメールが来た。 誘いでもないようだし、ただの連絡かと思って受け流した。 そして先週土曜に来店されて、客は開口一番こう言った。 「なんで返信してくれないの?ずっと待っていたのに。」 ?????え?待つって何を? アドレス変えました!というメールに見合う返事・・・ 「それはよござんした」とか 「なるほど・・・」とか 「3へぇ~」とか あたち「ごめんなさいね・・・今日あたり返信しようかと思ってて・・・ あれはお誘いだったんですか?」 客 「メールもらったら返信するのが当たり前でしょ? もう少し常識が分かってる人だと思っていたのにな。」 あたち「あっ、ごめんなさい」 客 「今日で5日目だろ。返事が無いから君のアドレス消したよ」 あたち「そうですか・・・じゃあアドレスを教えるために今送りますよ」 客 「いや、送っても届かないよ!僕昨日またアドレス変えたもん」 本当にごめんなさいと謝りつつ怒りを押し殺していた。 5日も返信が無い事に腹を立ててアドレスを変えたのなら、もう来店 しなきゃいいじゃないか。縁を切るために消したんだろ?変な奴。 更に客は言った。 「僕は君と違って仕事を簡単には休めないんだよ。前もっていつなら 時間が取れるのか連絡して欲しいな。金を払う約束をしたのだから 君が僕にご機嫌を聞くのが筋だろう?」 っていうか・・・その前にお前にはメールが届かないんだろ? その日は腹も立ちながら、やはり客なので本心をぶつけられず 停止姿勢のまま穏やかにあたちを装った。 今日、昼間の仕事をしている最中にその客の事をふと思い出し 無性に無性に無性に腹が立ったのだ。 あたちは今はOLなわけで、金をもらってまで嫌な奴とたかが食事だって するのはまっぴらごめんだと。 風俗嬢だと我慢できた事が、OL生活では我慢がならない。 ただでさえ高慢ちきなあたちが、OLだと高慢ちき度がアップしている。 今度はあたちが消してやるんだ。 その客のアドレスを。←そんなことじゃすっきりもしないけれど 先ほど、日頃お世話になっていたお客のMさんからお食事の誘いの お電話をいただいた。あたちはヘトヘトだし、そんな暇あるもんか。 あたちの新しい仕事について質問攻めにする。 『お前はあたちのお父さんか!?』と思ってしまう。 風俗嬢じゃない時のあたちは、あなたが知ってるあたちじゃないわ。 あたちを知ろうとするんじゃないわよ。 だから答える必要も無くってよ~おほほほ。 ってさ。 今週末になったらまた風俗嬢に戻るっていうのに。(笑) あたちってどこまでも性格が悪いわけですよ。えへっ。 おばあちゃんになっても変らないね・・・きっと。 かわいそうに。(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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