思えば遠くへ来た私

前日義母から電話があり、

皆でアイスクリームを食べに行こうと言う。

メンバーは農場に行ったあのメンバーで

総勢11人になる。

バカンスももう終わりなので、

孫達を喜ばせたいようだ。

もちろん義母が払うので、

二つ返事でOKする。

夜8時に旧市街のロセティ広場に集合だったが、

義弟達はいつも時間を守らないので、

短気な旦那は来るまでカフェで

ビールを飲むと注文してしまう。

カフェにひとり座った旦那を横目で見ていると

間が悪い事に注文してすぐに彼らは現れ、

旦那一人を残して皆ですぐ横の

アイスクリーム屋へと移動した。

焦った旦那は

ボーイがまだ注文を通してないのをいい事に

やっぱりいらないと逃げて来た。

そのアイスクリーム屋は有名で、

有名な分だけお高くて、

いつもパフェを食べたいと思っていた私は、

ここぞとばかりに12ユーロもするパフェを頼んだ。

妊娠中妊娠糖尿病になったので

産後は甘いものを控えていたのだが、

本来は大の甘い物好きだから

やはり誘惑には勝てなかった。

皆が一通り注文して

パフェがやって来てわかったのだが、

私が一番高いのを選んでいたので

ちょっとばつが悪かった。

張り切って食べ終わってみて見ると

皆はまだ半分も終わってなくて、

やっぱりばつが悪かった。

親孝行な娘は

食べ終わるまでベビーカーでぐっすり寝ていたのに、

食べ終わったとたんに目を覚ます。

彼女は初の女の赤ちゃんのため

皆からモテモテで、

目にいっぱい涙を溜めて

口をへの字にしているにもかかわらず、

そんな主張は無視されたまま

義母やいとこ達の間をたらい回しにされ、

旦那にまわされて来た時にはたまらず大泣きしてしまい、

結局私のもとへ戻された。

息子は夜に外出してるのがうれしいようで、

人々のにぎわいも手伝って

最大級に興奮してしまい、

ちょっと目を離したすきに

3度も行方不明になってくれた。

ひとしきり盛り上がった後

義両親達は帰る事になり、

残ったもの達でもっと賑わう

サレヤ広場のカフェに移動した。

私としては娘も眠そうだし

息子も興奮して手がつけられないので

とっとと家に帰りたかったが、

旦那は義弟ととても仲が良く

いつまでも話していたいようだった。

1歳2ヶ月の義弟の息子も

あちこち這い回っては連れ戻され、

うちの息子もそこら中走り回り、

そんな彼らの世話は2人の少年に任せてあったが、

とうとう手に負えなくなって泣いているので、

やっと帰る事にする。

こうして大勢で夜集まるのは楽しいが、

小さい子供がいるとつらい。

でもそんな事を思っているのは私だけのようで、

旦那達は次の機会はいつにしようかと話している。

旦那にはもう一人弟がいるが、

彼は今一緒に住んでいる

黒人の彼女とごたごたしているため

誘ってもあまり出てこないのだ。

もうそろそろ片がつきそうなので

今度は絶対引っ張りだそうと笑いあっている。

今度って一体いつさ、

と突っ込みたいのをグッと堪え

さっさと帰り支度をしてみたが、

フランス人は別れ際も

ほっぺにチュッチュと挨拶をするため、

そんな儀式も長々と続く。

やっと家についてみたら11時になっていた。

眠い娘は機嫌が悪く、

おまけに大量のアイスクリームで胸焼けして

なかなか寝付かれない夜を過ごす事になったが、

考えてみると私も結構楽しかったので、

次があったらきっと

またあ？何て言いながらも

いやいや行ってやろうかという顔を

してしまう事だろう。