2007/08/11(土)03:12
奇妙な隣人の話
ここで言う隣人とは
うちの真下の6階に住んでいる一人のご夫人の事だ。
彼女は確か2.3年くらい前に
そのアパートに引っ越して来た。
実は彼女がそのアパートを購入する直前に
真上に住んでいる私たちを尋ねて来た事があった。
うちも彼女のアパートも角部屋なので
二つの道路に面している為
車の音がうるさく無いかと質問する為に来たのだ。
私はどちらかと言うと
多少うるさくても気にせず眠れる方なので
正直にそう言ったが
旦那は音には敏感な方なので
この近くには電車も走ってるし
夜も外の車の音は多少はするので覚悟をしておいた方がいい
などと助言をしていた。
その助言にも関わらず
彼女はそのアパートを購入し
晴れて私たちの隣人となったのだが・・・。
忘れた頃にたまにやって来ては
離婚してご主人に仕事を追われて大変だったとか
そのせいで鬱病寸前だとか
愚痴をこぼして帰って行く。
そうかと思うと
知り合いに貰ったと言うおむつを娘にどうかと持って来たり
枕カバーを大量に「使ってくれ」と持って来たり・・・。
先月だったか
うちに旦那の弟一家が来ていた時にも尋ねて来たが
客がいると知ってすぐに帰って行った。
でも、
私が子供達と一緒に義弟家族とプールに行っている間に
又やって来て上がり込み
旦那を相手に相当愚痴ったそうだ。
精神的にとても参っていたらしく
「最近は娘でさえ私を避けている」
と泣いたため
「PCを持っているんならブログでもやったら」
と勧めたらしい。
ブログにハマった直後の旦那のその助言には
後で聞いて笑ってしまった私でしたが。
でも彼女はインターネットはやった事が無いらしく
そんな旦那の助言も役に立ってはいないみたいだけど。
その彼女が2週間くらい前のある日
私が掃除機をかけ終わった直後の朝8時ごろやってきた。
何事かと思ってドアを開けると
「おたくの掃除機は全く音がしないけど
一体どこの掃除機を使っているのか見せてくれないか」
と言う。
うちの掃除機は全く普通の家庭用掃除機で
音もそれなりにうるさいので
彼女の言葉に驚いて掃除機を見せながらそう言った。
「それにしてはうちには聞こえて来ないわよ」
・・・掃除機の音は下には響かない物なんじゃ?
そう思っても口に出せない私を前に
すぐに関係のない話を始める階下の住人。
「実は一週間前に空き巣に入られて・・・」
又ですか!?
この間はすぐ隣のアルチュールの飼い主が強盗にあったし
一年前には上の階の住人も空き巣にあったし
一体全体この建物ってどうなってるの!?
・・・いや、もともとフランスって空き巣は多いんだった。
ニースはスリも多いし。
泥棒もそれなりにいるみたいだし。
でも、だからと言っても
こんなに立て続けに隣人が被害に遭ってるのを聞くと
やっぱり怖くなってしまう。
その空き巣のせいで彼女、
もともと鬱っぽかったのが
本当の鬱に発展してしまったらしく
その数日後にやって来た時に旦那に
「このままでは仕事を止めさせられるかもしれない」
ともの凄く暗く語っていた。
今では空き巣に入られた部屋に帰って来るのが怖いらしく
一昨日、仕事から帰ってきた時にうちにやって来て
「一人で部屋に入るのが怖いから」
と私たち家族を道連れにした。
時間にして既に8時半を過ぎていて
子ども達の歯磨きを始めようとしていた私はパジャマ姿。
子ども達も肌着とパンツ一丁だったけど
私にもぜひ来て欲しいと言う彼女の容貌で
皆で彼女のアパートにゾロゾロと入って行った私たちでした。
ところでフランスでは
客が来ると自分の家を全て見せて回る習慣がある。
なので彼女も私に寝室から風呂場からトイレまで見せてくれた。
うちより多少広くて
なかなか居心地の良さそうなアパート。
「広いですねえ」とか言ってたら
ふいに彼女が「このアパートを買わないか」なんて言いだした。
いや、前に旦那にもそんな事を言っていたらしい。
でも、私たちとしては
次に買うならもっと部屋数が多いアパートがいいし
それには私が働かない事には無理だし
第一
私たちはもう同じ建物に住む事にうんざりしていたので
その申し出を断る為にしどろもどろ。
結局、私が働きだしてから考える
と言う事で開放してもらった。
と、こんな風に、
なんとも困った隣人だけど
彼女の気持ちもわからなくは無い。
一人で住んでいて空き巣に入られたりなんかしたら
私だってまいるだろうし。
つらい事が続いて弱くなってる時に
そんな目にあってしまったら鬱にもなるよね。
彼女の家に行った時にテーブルの上を見たら
不動産情報誌が散乱していたので
もしかしたら近々ここを引っ越す事になるのだろう。
その為に今住んでるアパートを売ると言う厄介な作業がある訳で
上に住んでる私たちに目をつけたと言う事か。
まあ、
私たちではお役に立てないけど
早く良いアパートが見つかって
彼女のアパートも高く売れるといいんだけど。
彼女を見るたびに“あめんぼう”を想像してしまう私。
私の目には彼女はそんな風にか弱く見えてしまうのだ。
容貌もそうだけど、精神的にもね。
だから、
早く彼女の引っ越しが決まって
私たちを完全に解放してくれる日を
実は密かに待っている私なのです・・・。
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