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カテゴリ:本の感想
書籍の感想です。
今回は「楽園の烏」です。 ![]() 楽園の烏 [ 阿部 智里 ] 烏シリーズの新章です。 烏の話だけど山内から始まらなくて、現代日本から 始まります。 安原はじめというダメ人間一歩手前みたいな人が 主人公で、訳もわからす山の所有者になった上に 山内に送り込まれてしまいます。 送り込んだ人の目的もわからないし、山内で誰が 味方かも分からない。 安原の山内散策が始まります。 前章よりだいぶ時間が進んだみたいで、雪哉が今は 全権を握っています。 雪哉は昔から表裏があるけど相当優秀な人でしたが、 黄烏として金烏の名代として山内全体をしきることに なって相当腹黒になっていました。 地下街を掌握するために、男、女、子どもを別々の場所で 働かせ、それぞれがそれぞれの人質になるようにして いたのです。 とはいえ、見た目はそれほど圧政を敷いているようには 見えません。 言うことを聞いているうちは楽園なんでしょうが、 自由とか選択肢とか全然ない生活は家畜的な扱いですね。 その効率重視のやり方に嫌気がさしている千早。 千早が良い奴に見えてくるから雪哉の外道っぷりは なかなかです。 はじめは山の権利を売って欲しいと言われたのですが その現状を確認した上で、権利を売らずに現代に戻って きます。 とはいえ、「売らない」と言ったわけではありません。 「保留」って感じですかね。 はじめは雪哉の政策を肯定も否定もしませんでした。 まぁ、裏事情を知ってしまえば非道だと感じる部分も ありますが、為政者が右手に飴を持ち、左手には刀を 持つというのはよくある話ですし、家畜のように 囲われた世界で良い夢見るというのもよくある話です。 なので、そのやり方がはじめ自身は好きでないとしても 「ダメ」と即断しなかったんでしょうね。 理想だけじゃあ生きていけないですからね。 雪哉の目論見を外したはじめですが、はじめを山内に 誘導した「幽霊」の目的は分かっていないし、雪哉も その先の手を打っていました。 誰が一番騙しているのかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.01.24 20:50:04
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