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カテゴリ:本の感想
書籍の感想です。
今回は「天国からの宅配便 時を越える約束」です。 ![]() 天国からの宅配便 時を越える約束 [ 柊 サナカ ] 七星さんが頑張る(?)天国宅配便シリーズ の第3巻です。 実際には七星さんは荷物を届けるまででそこから 物語は動き出すわけですが。 今回は4つのお話が乗っているのですが、どれも 素敵なお話でした。 自分が死んだ時、誰かに渡したいものはありますか? 天国宅配便はそんな希望を叶えるサービスを提供 しています。 死ぬ前に渡せば良いようにも思いますが、本人が 死んでおり、それでも伝えたかったこと、という のは、頑なだった心を解きほぐす力があるのだと 思います。 1話は目立たないように慎ましく生きる弓月。 その女性のもとに姉からという宅配便が届きます。 しかし、弓月にとって姉はトラウマそのもの。 なぜなら、姉は美人で運動神経も良く、ものすごく 華やかな存在でした。しかし、空想癖というか 嘘つきというか、学校でもどこでも大小様々な 嘘をついている困り者でもありました。 そんな姉は結婚式の当日、別の男が現れて、 その男と失踪するという事件を起こします。 それ以来30年、姉とは音信不通だったのです。 姉の行動の穴埋めに奔走した両親も死に、 姉のことは忘れたいけど忘れられないトラウマ となったのです。 そんな姉からのお届け物です。 恐怖しか感じません。 しかも姉は韓国にいたらしくそこで結婚し、2人の 子どももいました。 にも関わらずそこからも失踪していたのです。 今回の件で、顔を合わせる3人。 親族とはいえ、最初は不信感しかありません。 3人に共通する思いは「なぜ?」です。 行動の理由は理解し、納得したい。 なぜ姉は結婚式当日に出ていったのか、なぜ母は 孤児だなど嘘を言ったのか、なぜ母は子ども二人を 置いて出ていったのか・・・ 姉からの届け物は何の意味も価値もないように 感じられるものでした。 まさにパンドラの箱から出てきた絶望です。 しかしその絶望の先に3人は新たな希望を見つける のでした。 結局、姉が何を考えていたのかは分からずじまい です。それなのに良い終わり方だと感じるとても よいお話でした。 2話は常連だった食堂に迷惑をかけたと思っていた 女子高生とその店主の話。 その店主が亡くなり届けられた贈り物は女子高生の 心を救うものであり、そして・・・ 3話は小学生のころある漫画に対して送っていた ファンレター。作者はそのファンレターに救われた とのことで、感謝の気持ちが送られてきます。 その気持ちは状況に流されつつある自分にある 選択をすることを決心させるのでした・・・ 4話は数学者になりたくてなれなくて、ある令嬢と 結婚したいとおもっていたのにできず、いろいろ できないと思っている男が長年連れ添った妻からの 届け物。 届け物の意味は理解できないのですが、何とか 理解しようと努力する中で、妻、そして娘の 気持ちに気付くのでした・・・ どれもこれもとても良いお話です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.02.16 16:45:34
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