【書籍感想】クワトロ・フォルマッジ
書籍の感想です。今回は「クワトロ・フォルマッジ」です。クワトロ・フォルマッジ [ 青柳碧人 ]浜村渚の計算ノートでお馴染みの青柳碧人さんの作品です。それぞれに事情を抱えた4人の従業員が働くお店で発生した殺人事件を巡って4人の視点に次々と変えながら、事件を読み解いていきます。謎解きというより、各人の事情がなかなか複雑でそこがだんだん明らかになっていくさまが面白いです。最初の一人称視点である紅野は一緒に起業していた先輩に逃げられ会社は倒産、ついでに奥さんに離婚されるというなかなか辛い人生を背負っているのですが、他の従業員の状況がわかってくるとたいしたことないんじゃないかと思えてきます。周りの人が不倫や詐欺、潜入捜査など複雑な事情を抱えているせいで、「お前は知らなくて良い」とか「後で説明します」とか仲間はずれっぷりが哀愁を誘います。「何にも知らないくせに」も言われてましたね(笑)最後は警察を巻き込んでの大騒ぎとなりました。紅野は少しは前向きに生きていけそうかな。これも娘さんのおかげですね。