佐遊李葉 -さゆりば-

2006/09/12(火)10:16

心あひの風 -63-

心あひの風(63)

~次回からの連載作「孤舟」のご紹介~ 舞台は平安時代後期の院政期。藤原氏の栄華が衰退し始め、武士の台頭と源平合戦にはもう少し間がある、そんな狭間の時代です。 この頃流行りはじめた芸能に「今様」というものがあります。現代のものに例えると、前作に使った「催馬楽」が民謡とするなら、こちらは歌謡曲といった感じでしょうか? 雅楽の越天楽などのメロディにのせて、仏の教えから男女の仲のことまで、巷に溢れる聖俗あらゆる事柄を歌詞にして歌います。普通は鼓などの簡単な楽器を伴奏にして歌うだけですが、時には美しい舞を伴うこともあったようです。 一般の人も口ずさんだり宴席で歌ったりしましたが、節回しなどに難しい点も多かったらしく、今様歌いを専門にしている人々がおりました。 「孤舟」では、そんな今様歌いであった一人の老婆の一生を通して、芸の道と人の生きる道の哀しみを語ります。 今回は原稿用紙80枚程度の短編です。 どうぞおつきあいくださいませ……m(__)m

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