夢のあとさき
年が明け あっという間に春が来たけれどおそらく ほとんどの人が一年まえには予想だにしなかった春となってしまいましたまるで世紀末のような状況ですねいろいろ思うところではあるけれど先の見えない不安に押しつぶされそうではあるけれどなんとか ここを乗り切りたい みなで生き延びていきたいものですね秋にお知らせした通り 9月にミトンが逝ってしまいましたそして ミトンは ここに眠っていますこの荒れ果てた土地の奥にこの写真は ミトンが逝った週の土曜日やっと訪ねていけたときのものですミトンが亡くなったあの日ワタシはどうしても仕事を休めなくて 泣きながら出勤埋葬には おとんがひとりで行ったのですここはワタシタチ一家の主にはワタシタチ夫婦の 夢のあとですすっかり荒れ果てたこんなさびしい場所にミトンひとりおいておくなんてたまらない気持ちでしたでもこの土曜日 ワタシは数年ぶりだったのですが訪ねて行って 「みいちゃあ、おかん、きたよ」とと声をかけて なんだか少し落ち着きました仕事中はかろうじて 平静を保つことができたもののそれ以外は だあだあ泣き続けていたのですがこの脚立の右側がミトンの眠る場所 アホムスメ1号に託された種を蒔いてあります左には ミトンのイメージカラーのオレンジを連想してか 直感的にミトンの木として浮かんだ 金木犀の苗木を買って植えました根付くといいのですがこの場所山のアトリエとして おとんがほぼひとりで建てたのですまだこのブログすらはじめていないころミトンがくる3年前 アホちゃんズもちっちゃかったころのことですワタシタチはここで いろんなイベントをやったりただ山の家として 友人たちも交えて 気軽に来れる場所にしたかったのでした1年ほどは 手作り市的なイベントをやったりバーベキューをやったりしていたのですが小学生だったアホちゃんズは それなりに土日忙しくて毎週末通うことは難しくなりましたおとんがひとりで 仕事場として通うことにしたのですがビミョウに遠い場所で 町中にある発注先とのやり取りも難しく(当時ここは携帯の電波もつながりにくかったのです)裏に植えてみたとうもろこしも ちょうどヤングコーンくらいの大きさになったころおそらくは鹿に食べられたらしい跡をみて通うことの難しさに 次第に足遠くなり結果的に放置してしまうことになってしまいましたたまに訪れても 家の中に入ってみることもしないで すぐに帰ってしまったり言うまでもなく 家は荒れていきましたミトンをここに埋葬しようとおとんが言い出した時ワタシには抵抗がありました火葬して いつもそばにおいてやがてワタシ自身がこの世を去る時いっしょに埋葬してもらいたかったからですでもまだ暑さの残る9月の週初め休めない仕事週末まで 火葬を待つことにも躊躇いがありました立ち会わない選択肢もなかったのです結局 ワタシは ここにミトンを埋葬することに同意しましたそしてその土曜日ワタシは数年ぶりで アトリエの中に入ってみました挫折した夢は苦いものおそらく それを味わいたくなくて 直視せずにいた数年だったのでしょう荒れ果てた室内には 夢の残骸が さまざま 残っていましたそれは 不思議な空間 不思議な時間 不思議な感覚でしたもともと 廃屋や廃園はきらいではなく むしろこのもしくおもっていてこの場所の荒れ方は いかにも じぶんごのみでした挫折の苦さよりも 夢みていたころのじぶんたちへのいとおしさが溢れてくるようなここで 何年も しづかに夢は まっていたのではないか夢は つづいていたのではないのかまた 夢みてもよいのではないかミトンのおかげで いまを直視することができ同時に もういちど 夢をみることが できるような気がしてきましたもういちどやってみようかミトンの庭を作ってみようかあのころより 年を取り 体力は衰えなによりものぐさで 長続きしないワタシだけどと 思い始めてからようやくの昨日の草刈りでした(笑)水道が出てきた(笑)ここに 扉があることすら忘れていた(笑)ミトンのお墓のある裏庭じぶんの背丈より高い枯れすすきと茨と格闘 2時間ムカシのバーベキューセットの一部が出てきた(笑)そして 思ったより広いこれから どうなりますやらちなみに 夢のはじまりのころのこの場所は こちらです