気分に振り回されることの弊害
気がすすまないことから逃避するメリットは一瞬だけです。その後は暇を持て余し、後悔し自己嫌悪に陥ります。ではどんなデメリットがあるのでしょうか。・失敗することを怖れて回避していると、成功のための貴重な経験を積み重ねることができなくなります。失敗を積み重ねた人は、成功するためのコツをたくさん蓄積していきます。特に幼児期や子どもの頃にさまざまな失敗体験をしておくことが大事になります。我慢する。困難に耐えて目標に挑戦する力がついてきます。やりたくないことから逃げ回っていると、これらを身に着けることができなくなります。・逃げ回っていると、あとで後悔で苦しむことになります。「あの時やりたくないことにも挑戦しておけばよかった」と思ってもあとの祭りです。さらに「自分は何もできない」と自己嫌悪、自己否定で苦しむようになります。これが大きなストレスとなります。ストレスが蓄積すると心身に悪影響を及ぼすことになります。やりたくないことから逃げていると、問題を先送りすることになります。事態がよくなるどころか、取り返しがつかなくなるほど悪化することもあります。・人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。相手と良好な人間関係を築いていくためには、辛いことや腹立たしいことがあっても、笑顔で挨拶していくことが大切です。また、相手との信頼関係を築くためには、相手との約束を果たす必要があります。時には自分の気持ちを抑えたり、相手に合わせる必要があります。チームで目標を達成するためには、メンバーと協力し、それぞれの役割を果す必要があります。・会社や組織に属している人は、責任と義務を果たす必要があります。気がすすまないことはしないという態度では、責任をもって業務を遂行することができなくなってしまいます。さぼっていると、いずれ会社から放り出されてしまいます。次に親となった人は、子どもを育てて自立させる責任と義務があります。子育てを放棄してしまうと子どもは右往左往して自立できなくなります。大人になったとき、親を憎むことになります。社会人として、法律を守り、税金を支払い、社会貢献していくことは国民の義務です。気が向かないことを避けるという態度では、社会のお荷物人間になります。・気がすすまないことを回避していると、良い生活習慣を身につけることができなくなります。健康管理、お金の管理、財産管理、時間管理をしなくなると、後々大きな問題が出てきます。変化への対応が遅れて、とり残されてしまいます。変化に取り残されてしまうと、生命の危険にさらされてしまいます。このように気がすすまないことを回避するという態度ではさまざまな弊害が待ち構えています。気がすすまないことに手を出すというのは、最初は注射針を差し込まれるような痛みがあります。しかしその後の経過を考えると、最初の痛みをぐっと我慢して耐えると、次に明るい展開が待っていることに思いをはせることが大事になります。森田先生は富士山の強力の話をされています。普段は農作業をしている人たちが、登山の時期に入ると強力をしている。最初の2,3日は足が痛くて便所で膝を曲げることもできなくなります。ここをぐっと我慢して仕事を続けていると、やがて慣れてきて痛みが和らぎ、シーズを通して仕事を続けることができるようになります。(森田全集第5巻 566ページ)