森田理論学習のすすめ

2014/08/30(土)08:16

共依存から抜け出る

人間関係、不即不離(392)

「共依存」という言葉は知っておられる方もおられると思います。 共依存は主に親子、夫婦の間に発生します。 親子の場合は自分たち夫婦の両親、そして自分たち夫婦の子どもの場合があります。 身近にいる家族で自分を困らせたり、心配をかけたりする人がいるとします。 そういう人にたいして世話をしたり、面倒をみることを生きがいにしている人が一方の当事者です。 アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、浪費癖、ひきこもり、不登校、家庭内暴力、摂食障害、受験を控えた子ども、介護の必要な両親などは格好のもう一方の相手となります。 かいがいしく世話をしているので、一見すると家族思いの豊かな愛情と間違います。 実態はそうではありません。愛情という名を借りて相手を思うように支配しているのです。 森田理論でいう「かくあるべし」を押し付けて、相手を意のままに操ろうとしているのです。 おせっかいをする人の大きな特徴は、自分の人生を生きていこうとしていないのです。 森田でいうところの生の欲望を持っているわけではありません。 一方にそういうものを持って、なおかつ思いやりの精神で世話をしているのではない。 つまり人生は退屈でつまらないなと思っていたところに、運よく格好の生きがいを見つけたというようなものです。 家族の世話をする。とことん面倒を見る。家族を悪から正しい道に導こうとしている。 それ自体が唯一の生きがいになっており、それは少なくとも自己犠牲の上に成り立っています。 だから将来自己犠牲が相手から感謝されない、充分に報われないということになるとすぐに反撃したり、自由放任で放り投げてしまうのです。 一方、依存してしまった人は、もっと悲惨な人生が待っています。 つまり自分が自分でなすべきことを、共依存の相手が世話をして、面倒を見てくれることによって、自分の一人で生きていく力がどんどん吸い取られてしまうのです。 世話をされる、面倒を見てもらえるというのは、一見こんなに楽なことはありません。甘い蜜のようなものです。 しかしそれと引き換えに、苦労したり、失敗を経験したり、能力を獲得したり、成功して自信を得たりする機会は持てなくなってしまいます。 そして、いつか依存関係が崩れた時、自立するための心や体力・気力は骨抜きにされていて、自信もなく不安や恐怖に押しつぶされてしまうのです。 目も当てなれない悲惨な人生が待っているのです。これは強迫神経症の原因となっています。 アダルトチルドレンという言葉があります。 親の育て方が悪かったために、今現在自分が世の中に適応できなくなった。 親が果たすべき役割を放棄したために、自分は生きづらさを抱えて苦しんでいるのだ。 つまり今の苦しみは機能不全に陥った両親の責任であると思っている人のことです。 私はアダルトチルドレンの一つの原因は、実はこの「共依存」ではないのかと思っています。 共依存は依存する人もされる人も、将来に希望につながるものは何もありません。 では共依存関係から抜け出すためにはどうしたらよいのでしょうか。 それは世話をしたり、面倒を見ている人が、かかわりを止めることです。 苦しいでしょうが、一歩引いて愛情を持って見守ること、相手が自ら立ち上がるのを辛抱強く待ってあげることです。それが相手のためにもなり、自分のためにもなります。 実はこれは森田理論学習の主要なテーマとなっています。 森田的生き方は共依存的生き方を否定しています。 つまり共依存関係にある双方とも、それぞれに自分の生の欲望を見つけて、大切にして一日一日を生きていくことをめざしています。 それぞれが運命を切り開いていく生き方を目指しているのです。

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