2014/09/07(日)06:56
ネットゲームの弊害について
子どもはどんな風にしてネットゲームに夢中になっていくのか。
「親は知らない」読売新聞社会部、中央公論新社より見てみよう。
ある少年が中学生のころからネットゲームに夢中になった。
マイク付ヘッドフォンをつけて、聞こえてくるのはゲーム音だけ。
「このやろう」「死ね」「うぜ」という声に深夜家族が目を覚ますこともあるという。
画面の向こうには「仲間」がいる。知らない相手とインターネット経由で言葉を交わす。
ゲーム用語を連発している。自らやゲーム上の友人のことを「ネトゲ廃人」と呼ぶ。
ネトゲとはネットワークゲームの略だそうだ。技術の高いプレーヤーをたたえて「廃神」と呼ぶそうだ。
今19歳だが、夕方から翌日昼すぎまでゲームに明け暮れる。
昼過ぎから夕方までは寝ている。昼夜逆転の生活が続いている。
親は息子をネットゲームから引き離そうと何度も試みた。
そのたびに親子の溝は深まるばかりで、今や全く口出しできずに放任している。
ゲームの最中は自宅に訪ねてくる友達にも合わない。
中学の卒業アルバムは同級生が届けてくれたが、卒業式には出なかった。
単位制高校も入学手続きをしただけですぐに辞めた。
ネットゲームについて本人は、「リアルの世界では失敗できないけど、ゲームでは名前を変えたり、データを削除できるから」という。
つまり今や完全に仮想社会、ネット社会の住人になってしまい、現実社会から背を向けて逃避しているのである。
ゲームでは何度もやり直しはきくが、現実社会はリセットして新たに再出発することはできない。
また将来の生活、自立して生きていくということは全く考えていない。
親の加護のもとで生きていくのだろうか。
私の住んでいるマンションでも夏休み外で遊ぶ子供はあまりいなかった。
我々が子供の頃と比べてみれば一目瞭然だ。友達とは外で遊ばない。
家でゲームなどをしている子供も相当いるのではないか。
私が一番心配なのは、脳が正常な働きをしなくなることだ。
脳のシナプスのネットワークは、不必要なものはどんどん刈り込んでいく。
その時期は生まれて1年以内と10歳から12歳の間の2回行われているという。
刈り込まれたシナプスはその後再生されることはない。
刈り込まれた脳は機能不全に陥る。
つまりネットゲームにはまり込んでしまうと、自分を大切にする、他人を思いやる、物を大切に使う、時間やお金を大事にするなどという気持ちは持てなくなってしまうということなのだ。
こういう子供たちが増えることは、末恐ろしい社会がすぐそこまで来ているということである。
最近の猟奇事件は、すでに多くの警告シグナルを発しているのである。
現在ネットゲーム、パソコン、携帯端末機器の拡大は野放しである。
むしろ世の中の自然の流れとして社会に容認されている。歓迎されている。
また将来、パソコンが駆逐されて、携帯端末による情報化社会に突入することはほぼ間違いないところである。
それらは便利で役に立つ反面、人間の体や脳に与える悪影響について十分注意を払う必要があるのではないか。
1990年代以降に生まれた人は、出生以来その枠内で生活してきた人である。
その子どもたちがこれから先社会に出てゆき、社会、経済をけん引してゆくようになる。
それが吉と出るか凶と出るか、すぐに結論が出るのではなかろうか。