慢性的なうつ状態という人がいる。
大うつ病ほどではないが、軽い抑うつ状態が続いている人である。
これは気分変調性障害といわれている。
薬物療法だけではなかなか改善できない。
どうすればこの抑うつ状態は軽減できるのだろうか。
「うつヌケ」(田中圭一 角川書店)が探ってみた。
慢性うつ状態の人は、考え方、行動のパターンが悪循環を招いている場合があります。
考え方、思考のパターン、行動のパターンを見直すことが大切です。
そのためのヒントを上げてみましょう。
1、うつ状態の人は、自分のことが嫌いなのだという。
自分が好きになる努力をすることが大切です。
自分のことが好きになるには、まずありのままの自分を認める。
森田でいう「かくあるべし」を捨てる。
ネガティブな言葉はやめて、自分のことを評価する。
これはことばでは分かりますが、ハードルは高い。
でもそれに近づくための方法があります。
森田療法理論や認知療法の学習をすることです。
私は、自分の存在、容姿、性格、能力が人と比べて劣っていて、イヤで仕方がありませんでした。
森田理論では、「かくあるべし」を少なくして、事実、現状に立脚した生活態度を身に着けることだということを教えてもらいました。
今では学習のおかげで、あるがままの自分に寄り添うことができるようになりました。
2、森田療法は、不安はあるがままに捨て置いて、今なすべきことをすることを勧めている。
うつ状態をなくそうとすると、抑うつ状態は軽くなるどころか、どんどん悪化する。
うつ状態という人を見ると、頭でっかちで、手足が動いていない。
考えることは、自分の欠点や弱点を責めることに集中している。
3、人から必要とされる人間だと感じられるようになると、うつ状態は楽になる。
人の役に立つことを、見つけてコツコツと実行に移すことが大切です。
それが習慣化し、弾みがついてくれば、うつ状態は消えていきます。
4、自分を客観化し、助言してくれる人を味方につける。
先入観、決めつけで悲観的な考え方ばかりしているので、配偶者や友達などの意見を参考にする。
反発するのではなく、「そういう見方や考え方もあるのか」と素直になることが大切です。
5、客観的事実と主観的な事実をノートに書き留めておいて、1か月後に振り返ってみる。
例えば、準備不足で商談に失敗した。これは客観的事実です。実際の出来事です。
その時、「自分はもうこの会社にはいられない」と感じたのは、主観的感情の事実です。
それを記録しておいて、1か月後に振り返ってみると、客観的事実はどうすることもできませんが、主観的な事実は変化していることが多いと思います。
「どうしてそのような極端な気持ちになったのだろう」とあっけにとられるかもしれません。
6、没頭できる趣味を持つ。趣味には、強制も、責任も、プレッシャもない。
趣味ややりがいを持つことは、うつ状態になる予防薬になります。
7、うつ状態になりやすい人は、まじめ、心配性だが前向き、責任感が強い。
そういう人は、気持ちの方は休みたいのに、鞭打って働いている。
「社畜」という言葉があります。ブラック企業などにいて、気力、体力、生命力などすべての力を会社に捧げながら、最終的に部品のように使い捨てられるロボットのような人のことを言います。
こんな人生を送っては自分がかわいそうです。
このような場合、限界を超えてしまう前に、対処しないと、最悪過労死へと突っ走ってしまいます。
体調異変を感じたら病院にいくことです。神経質性格者は、身近な人に自分の状態を監視してもらうことが大切です。