カテゴリ:純な心、直感、初一念
私は「純な心」は、「かくあるべし」を少なくして、事実本位の生活態度を獲得していくための一つの手段だと思っている。「純な心」を身につけると、自分や他人に「かくあるべし」を押し付けることが少なくなるのだ。いつも事実に立脚して、事実とともに前進していけるので葛藤や苦悩がなくなる。
純な心について森田先生に次のような説明がある。 「あやまって皿を落として砕いたときに、思わずこれを取りあげて、つなぎ合わせてみることがある。 これは惜しいことをしたという純な心である。 つなぎ合わせたとて、こわれたあとではもとのようになるはずもない。 バカげたことである、というのは悪智である。 純な心そのままであったときには、他日再び皿などの壊れやすいものを取り扱う場合に、そのもの置き方、取り扱い方に対する適切な工夫ができるようになる」 この文章の私の解釈は次の通りである。 「あやまって皿を落として砕いたときに、思わずこれを取りあげて、つなぎ合わせてみることがある。 これは惜しいことをしたという純な心である」 これは自分のミスや失敗に接して、まず最初に湧き上がってくる感情です。 初一念というものです。誰でも大なり小なり初一念は湧き上がってきているものと考えています。 これがないと次に進むことはできません。 ところがこの初一念という素直な感情は、キャッチしようと意識しないと忘却の彼方に飛んでいく特徴があるのです。 その後に「つなぎ合わせたとて、壊れたあとではもとのようになるはずもない。バカげたことである」という感情が引き続いて湧き起こってくるようになっているのです。 これは森田先生が初二念といわれているようなものです。 「純な心」学習していない人は、機械的にこの初二念に基づいて、対応策を試行錯誤してしまうのです。 この初二念は、多分に「かくあるべし」を含むものなのです。 「こんなところに無造作に皿を置いている人が悪い。自分に非はない」 「先生に叱られるかもしれない。見つかる前に捨ててしまおう」 「幸い先生に見つかっていないので、瞬間接着剤でつなぎ合わせて、ごまかしてしまおう」 「自分は何をしてもおっちょこちょいで情けない」と自己嫌悪する。 こういうことをしていては、事実を正直に認めて、受け入れるという生活態度の養成には向かないのです。「かくあるべし」の弊害は学習によって分かっているのですが、肝心の生活態度が「かくあるべし」なので葛藤や苦悩は益々強化されてしまうのです。 初一念から出発した場合は、森田先生に自分が不注意で皿を割ってしまいましたと謝る。 そしてすぐに注意深く割れた皿をかたずけて掃除する。 森田先生に「代わりのものを買ってこようと思っていますが、それでよろしいでしょうか」と相談する。 対応方法が物事本位になっているのです。 責任転嫁、言い訳、ごまかし、自己嫌悪は起きていません。 また以後は、失敗の経験に学んで、皿の置き場所などに注意して、適切に取り扱うようになるのです。 初二念で対応する習慣の人は、自分の罪を免れることに注意を向けているので、同じような過ちを繰り返すことになります。 初二念は否定、言い訳、ごまかし、叱責などの気持ちになりますので、そんな時、「ちっと待て。初一念の感情は何?」と自分に問いかける言葉を発することができるかどうかが分かれ目になります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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初めまして、強迫性障害で悩んでいた所こちらのブログを
見つけまして治療の参考にさせて頂いております。 自分の症状なのですが他人が会話をしているのを聞いて ちょっとした言葉に対して 「うざい」「この人何を言ってんだろう」 と言ったすぐ否定的なことがすぐ頭に浮かんでしまうのですが そこから 「いや、そんなふうに思ってしまうのはいけない」 と自分の抱いた感情を否定してしまうような状態に なってしまい、もっと良い思考であろうとして 強い不安に襲われてしまい困っております。 森田療法では自分の心を操作しないほうが良いという話も聞きました。 初一念がネガティブなものであってもそれは否定しないほうがいいのでしょうか…。 喜ばしいニュースなはずなのに何故だか真逆のよくない事を頭に想像して 考えてしまいそれをすぐ否定するということもよくあります。 侵入思考的なものもあると思います…。 とらわれや純な心という森田先生の言われている言葉に通じるものがあると思うのですが、 もしよろしければどのような思考をするべきなのか教えて頂けないでしょうか? よろしくお願いします。 (2019.09.04 18:15:00)
ststさんへ
おつらい気持ちが伝わってきました。 この相反する2つの考えが浮かぶということですが、これは誰でも経験があることなのです。 正常な人間であるという証明のようなものです。 例えば、躁うつ病の躁状態というのは、この反対の考えは湧き起こってきません。いけいけどんどんの状態になります。 車でいえば坂道でアクセルばかりを踏み込んでいる状態です。 これがどんなに危険な状態であるのかお分かりのことと思います。 2つの考えで葛藤を抱えて苦しいというのはその通りです。 前に進みたいのに、ブレーキを目いっぱい踏み込んでいる状態ですから。 こういう場合はブレーキを少し緩めてあげることが必要になります。 森田理論では、自分が最初に感じた初一念を大切にしようという考え方です。 どんな感情でも最大限尊重して、受け入れることが大切になります。 それに引き続いて、初二念、初三念が湧き上がってきます。 反対意見や、言い訳、責任転嫁などのの考えや言葉です。 そういうときは、それらとかかわり合うのではなく、初一念を思い出して、初一念に立ち戻るということをお勧めしているのです。 そういうことは理屈が分かったからといってもすぐには身につきません。 最初は10個のうち1個でもできるようになれば、大いに期待が持てます。 私たち先輩は寄り添いながら、応援しています。 (2019.09.04 20:10:54) |
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