カテゴリ:行動のポイント
森田理論学習を続けている人は、行動・実践の大切さは十分に理解されていると思います。
ところが実際には、その切り替えができなくて、悶々と今まで通りの生活を繰り返しているという人が多いような気がしています。 方向性は見えているのに、なぜ、どうして森田理論を生活面に応用できないのでしょうか。 集談会では森田理論を応用して、見違えるように元気溌剌、生活を存分に楽しんでいる人がいるのに、どうしてその人のまねをしようとしないのでしょう。 こんな話をすると、「そんなにいろんなことに挑戦して疲れませんか。イライラしませんか」 あるいは、あっけに取られて開いた口がふさがらないといった反応をされます。 「定年退職したらやってみたいことを20個ぐらい持ってないと、退屈だと思うようになりますよ」というと、とんでもないことをいう人だという反応があります。 反面、体験交流では、「毎日退屈で、抑うつでイライラした生活を送っています」などと話されます。 どうして自分の生活スタイルを変えようとしないのか。 その原因を考えてみました。 人間は暑苦しさを感じると、体温を下げようとします。 まず汗をかいて気化熱の放射で体温を下げようとします。 私は仕事中は小型扇風機のついた服を着ています。これがかなり役に立ちます。 また水分補給にも心がけています。スイカやトマト、ソーメンなどを食べます。 寝苦しい夜はクーラーを入れます。クーラーが嫌いな人でも、様々に工夫をします。 反対に氷が張るような冬には、厚着をして体が温まる食べ物や飲み物をとります。 部屋の中は当然暖房を入れます。お風呂にゆったりと浸かって、身体を温めようとします。 これらは、体温を36.5度に保とうとする体のシステムが自然に働いているのです。 そのシステムが正常に機能しているおかげで、人間は生命を維持しているのです。 もし体温が40度になっても何もしない、あるいは厳しい寒さの冬場に薄着で外出するとどうなるでしょうか。途端に命の危険にさらされてしまいます。 人間には、不快な気持ちを感じると、気にならなくなるまで元に戻そうとする機能が備わっているのです。この働きのことを「恒常性維持機能」と言います。ホメオスタシスともいいます。 この機能は身体管理のすべてに貫徹されています。 血中に糖が多くなれば、インスリンが出て糖分の上昇を抑制するのもその一つです。 その機能のおかげで、糖尿病が予防できているのです。 この機能は、身体管理にばかり働いているわけではありません。 精神管理の面にも働いているのです。これが厄介なのです。 森田理論で不安は横において、行動・実践に力を入れようと決心しても、恒常性維持機能が働いていて、すぐに切り替えることは思っているほど簡単なことではないのです。 そういうことが分かれば、行動・実践できない人に叱咤激励することはできなくなります。 そういう前提に立ったうえで、森田理論を学ぶ仲間として、少しでも変化できるように刺激を与え続けることが大切です。 例えば私はカラオケ同好会を作っていますが、今までカラオケなんかとしり込みしていた人が、毎日you tubeで練習するようになっているのです。この小さな変化は大事にしてあげたいと思っています。 集談会ではお互いに刺激を与え続ける温かい人間関係を保っていくことが必要です。 すると、何かをきっかけにして、新しい自分に変身できるチャンスが発生するということです。 これは自分一人ではとてもではないが達成不可能だと思います。 これが自助組織の醍醐味であると考えています。 一つ動きだせば弾みがついて、次第に今までの殻を打ち破っていくことができるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.08.28 06:30:08
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