森田理論学習のすすめ

2019/08/31(土)06:30

怒りの感情の発生原因について

感情の法則(194)

怒り狂っている人を見て、あの人は頭に血が上っているなどと言います。 これは事実ではありません。 むしろ頭から血の気が引いているといったほうが正解です。 脳が正常に機能するためには、その原料である糖が大量に必要になります。 怒り狂っているときは、瞬間的にその糖を相手と闘うために「筋肉」に集中させています。 アドレナリンなどのホルモンがその命令を出しているのです。 生命に危険が差し迫ったときは、脳や消化器に栄養分を送ることを遮断してしまうのです。 怒りの感情はダイナマイトのようなもので一旦着火するとすぐに暴発してしまうなどと言います。 それは糖というエネルギーの補給方法が、脳や消化器から「筋肉」へと瞬間的に切り換えられてしまった結果なのです。その結果脳はほとんど働いていないのです。 だから怒り狂っている人を見ると、幼児並みの脳、酔っぱらいのような脳になっているのです。 大脳新皮質が眠りに入り、大脳辺縁系がなんとか動いているようなものです。 普段は冷静沈着で立派なことをいう人が、急に人が変わったように動物的になるのですから、周りにいる人はなんとも始末におえないのです。 この生理現象は人間の先祖の時代から、脈々と受け継がれてきたものであり、意志の力でコントロールすることはできません。人間には本来そういう仕組みが備わっているということです。 このことを、すぐに腹が立ってしまう人、怒りが爆発して後で後悔した経験のある人は、十分に理解する必要があります。 ここに腹が立ったときや怒りで相手に罵詈雑言を浴びせて、破れかぶれな行動に発展しそうな時の対応方法が隠れているのです。 脳に糖というエネルギーが回らなくなっている状態ですから、普段のように脳にエネルギーが補給されるような正常な状態になるまで待つということです。 怒り心頭の状態になったときは、大脳新皮質が深い眠りに入った。 大脳新皮質が眠りから醒めるまで待つしかない。 筋肉への栄養補給が止まれば、大脳が正常に働きだすので、適当な対処ができるはずだ。 この気持ちを思いだすことです。 その時に売り言葉に買い言葉で対応すれば、一瞬だけ気持ちが晴れます。 ところが後々苦しむことになります。 一番いいのは、脳が正常になるまで、時間をおくことです。 「すみません。急に腹が痛みだしたのでトイレに行ってもいいですか」 「すみません。人を待たしておりますので、少しだけ時間をいただけますか。すぐに戻ってまいりますので。」その他理由はなんでもいいのです。 とにかく脳に十分なエネルギーが補給されるようになるまで、時間を置くことです。 このことを忘れないようにしたいものです。 そうすれば動物の脳から、理性的判断ができる人間の脳へと復帰できるのです。 いつもいつも理想通りに進むことはあり得ませんが、その気持ちを持ち合せていることは、とても重要です。

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