森田理論学習のすすめ

2024/04/07(日)23:48

欧米と中国人の子育ての違い

子育て、しつけ、教育(166)

中国系アメリカ人のエイミー・チュア氏の子育ては独特です。 欧米人の親は子どもたちの自尊心を極度に心配することに私は気づきました。 子どもたちが何かに失敗したときに、彼らの感情を傷つけまいとし、テストで平凡な成績しか残せなかったり、発表会で大した演奏しかできなくても、ことあるごとに、あなたは優秀なんだからと言って、子どもたちに自信を与えようとします。 つまり欧米人の親は子どもの心理面を気遣うのです。 中国人の親は違います。 彼らは子どもたちには弱さではなく、強さがあることを前提としているので、結果として欧米人の親とは全く違った行動を取ることになります。 例を挙げてみましょう。 子どもがテストでAマイナスを取って帰宅したとします。 欧米人の親なら、ほとんど子供をほめることでしょう。 でも中国人の親の場合、非常にショックを受けて、どこが間違っていたのか、子どもたちに問いただすのです。 打ちひしがれた母親は、数十の、いえ数百の練習問題を準備して、子どもがAを取るまで、つきっきりで勉強させることになります。 自分の子どもが満点を取れると信じているからこそ、中国人の親は子どもに完璧さを求めるのです。 それができない子供に対しては、努力がまだ足りないのだと決めてかかります。 この考え方があるから、普通の成績をとった子供は、常に非難されたり、罰を受けたり、恥をかかされたりという目に遭うことになります。 中国人の親は、自分の子どもたちは恥をすすぎ、進歩していく強さがあるのだと信じているのです。 (タイガー・マザー エイミー・チュア 朝日出版社 68ページ) 欧米人の親は、子どもがミスや失敗をした時、子どもがそのことで自信をなくすことを恐れています。 子どもを非難、否定したい気持ちを抑えて、慰めたり、励まします。 森田理論を勉強した人は、自分の「かくあるべし」を子どもに押し付けてはいけないと肝に銘じていますので、欧米人と同じ対応を取りやすいと思います。 エイミー・チュア氏は、親が子どもの傷を癒すことよりも、もっと大事なことがあるといわれているように思います。 目標に今一歩到達していないときに、親は子どもを慰めてはいけない。 子どもの緊張感の糸を切って、弛緩状態に陥れることは百害あって一利なしだ。 子どもが、ホッとして気を抜くようなことを親がしてはいけない。 親がすべきことは、子どもがもっと大きな高みに挑戦していくように、子どもに寄り添い、叱咤激励していくことだ。 子どもに嫌われても、それが親の責務だ。 その能力を子供は先天的に持っているのだから、その芽を親が勝手に摘み取ってはならない。 中国の親がよく分かっているのは、何をするにしてもうまくなるまでは楽しいことなどないということです。 そのためには努力が必要ですが、当の子どもたちは放っておけば努力などしませんから、親が子供たちの希望など無視することが重要なのです。 子どもは反抗しますから、親の方に不屈の精神が求められます。 最初が一番大変なので欧米の親は、たいていここであきらめてしまいます。 しかし、きちんと取り組めば、この中国式のやり方は好循環を生むのです。 (同書 40ページ) 親として思うに、子どもたちの自尊心のために良かれとやっていることが、子どもたちにあきらめを生んでしまったら、それは最悪のことではないでしょうか。 その一方で、自分にはできないと思っていたことができると知ったときほど、自信がつくことはないのです。 (同書 82ページ) 友だちのような親子関係は、緊張関係がないので楽ができますが、それでは将来子どもが大人になった時、困難を乗り越えていくたくましさを持てなくなってしまうかもしれません。

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